[ オピニオン ]
(2017/6/30 05:00)
エアバッグメーカーのタカタによる民事再生法の届け出が受理され、東京地方裁判所の管理下で再生手続きが始まった。ただ、いまだ膨大に残るリコール(無料回収・修理)が滞ることがあってはならない。手続きを監督する監督委員やタカタ、完成車メーカー、スポンサー企業は、あくまで消費者視点を優先して手続きを進めるべきだ。
世界で1億台ともされる車に採用された欠陥エアバッグがタカタを追い詰めた。リコール対応費用などで負債総額は1兆円を超え、製造業としては戦後最大となる。規模の大きさから経済的な影響が注目されがちだが、最優先すべきはリコール対応であることに変わりない。
日本ではリコールが済んだ比率は70%超にとどまる。日本のような車検制度が整備されていない米国では、対象車両の追跡が難しく、35%ともっと遅れている。事故時に異常破裂するかもしれない部品を搭載した車が世界中で走っている現状は、早急に是正しないといけない。
そもそも今回のケースは関係者の対応が遅すぎた。問題の端緒は10年前から見つかっていた。異常破裂の原因が特定できなかったことや、リコールの責任主体が完成車メーカーなのか部品メーカーなのかという見解の違いもあって、なかなか事態は改善に向かわなかった。
2014年に米国議会の公聴会で、異常破裂した車両が特に多くあったホンダが、原因が分からないままでもリコールを実施する方針を表明して、ようやく進展に向かった。事態が膠着(こうちゃく)する間、欠陥エアバッグは世界に拡散した。タカタだけでなく完成車メーカーの責任も重い。
今回の再生手続きは、利害関係者が多岐にわたるほか、まだリコール対象になっていないエアバッグが将来リコール対象になる可能性もあり、難航も予想される。こうした関係者間の調整を乗り越えるために民事再生法が再建手法として選ばれたわけだが、手続きに当たっては問題を長期化させた過去と同じ轍(てつ)を踏んではいけない。リコールを早期に進める消費者視点を忘れてはならない。
(2017/6/30 05:00)
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