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[ 商社・流通・サービス ]
(2017/7/4 05:00)
首都圏の鉄道各社がホームドアの整備を加速している。東京メトロは2026年3月までに全路線全179駅への設置を決めた。東京急行電鉄も、主要3路線全64駅への導入予定を20年3月に1年前倒しする。JRやほかの私鉄も相次ぎ整備見通しや追加の計画を打ち出す。ホームドアは、ホームでの転落や接触事故などの防止に最も効果が高い。だが導入にはハードルも高く、早期の整備を目指して各社は知恵を凝らす。(小林広幸)
【東京五輪までに】
6月29日に開いた東京メトロの株主総会で奥義光前社長(現相談役)は「安全確保は最大の使命だ」と述べ、全線全駅へのホームドア設置を、株主の国と東京都に報告した。東京メトロは18年3月までに98駅で稼働させ、20年夏の東京五輪開催前までに138駅への設置を予定している。
東京急行電鉄は田園都市線で5月、6ドア車両の4ドア車両への置き換えを完了し、ホームドア設置の環境を整えた。ホームドアは車両のドア位置が固定されていることが設置の前提だ。同じ線区で通勤車両と特急車両を運行する場合なども、検討が必要になる。
また、相互乗り入れが多い首都圏では、異なる会社間でドア位置を調整することが不可欠だ。東京メトロが最後まで計画を未定としていた東西線も、他社線からの乗り入れ車両とのドア位置統一が課題だった。車両改造などにめどがついたことで確定できたという。
【各社で連携】
山木利満民鉄協会会長(小田急電鉄会長)は「各社が連携して整備していくことが必要だ」と指摘する。加えて費用面でも、事業者への負担は重くのしかかる。ホームドアの整備には「1駅当たり4億―5億円かかる」(山木会長)という。行政の補助金もあるが普及には、メーカーの協力を得て一層のコストダウンも課題だ。
JR東日本は20年夏までに58駅へのホームドア設置を計画している。JR東の場合、盛土構造のホームのため、ホームドアの重みで土台がゆがむ問題が生じる。そのためホームを使いながら、くい打ちなど工事が大がかりになる。京浜東北線1駅で13億円の工事費用を見込む。
【究極の安全対策】
それでも設置の意義は大きい。山手線のホームドア設置駅では、設置以降、転落や自殺行為が1件もなくなったという。JR東の前川忠生常務は「ホームドアは究極の安全対策だ」と説明する。
相次ぐホーム転落事故を受けて国土交通省は16年末、鉄道各社が参加の下で「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」で中間とりまとめを発表した。ホームドアの必要性を改めて確認し、1日当たりの利用客が10万人以上の駅への導入を急ぐ方針を示した。各社の動きはこれに呼応したものだ。
国交省によると16年3月時点の設置駅は665カ所。一方で利用客10万人以上の駅への普及率は約3割にとどまる。
(2017/7/4 05:00)
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