[ その他 ]
(2017/7/6 05:00)
【金属の裏側でも読み取り可能なRFID】
モノの流れ “見える化”
フェニックスソリューション(金沢市、金岡久夫社長、076・256・2811)は、金属の裏側でも読み取り可能な無線識別(RFID)の特殊金属タグを開発した。金属品の裏面に貼り付けると電波が干渉して読み取れなかった金属タグの課題を克服。管理作業の効率化を促進し、さまざまな金属品の数量管理に性能を発揮している。
開発の中心人物は杉村詩朗取締役技術本部技術開発部長。ICカードや携帯電話のアンテナなど、通信分野のベテラン技術者だ。そもそも同社は、杉村氏の技術を製品化するために立ち上げたといっていい。
核となるアイデアは、タグと金属品の接触部分をアンテナのグランド(アース)として作用させ、電波を放射する構造としたこと。タグを取り付けた金属品自体がアンテナの役割を果たしており、電波干渉の影響を受けにくいのが特徴だ。金属の種類は問わない。
開発の早い段階で、裏面からでも読み取ることはできた。大変だったのは「金属が積層した状態でも読み取れるようにすること」(杉村取締役)。これがブレークスルーとなり、需要開拓に加速がついた。
台車に大量に搭載されたパイプいすなどの製品管理のほか、複数の鋼板が積み置かれた製造現場へと採用が進んでいる。これまでは目視で、伝票と現物一つひとつを照らし合わせていたが、今では読み取り機を数秒かざせば作業が完了する。
数量管理は「日本の現場の中で、意外と自動化が進んでいない分野」と話すのは和田康志副社長。このタグを取り付けて大量のデータを管理し、モノの流れを“見える化”すれば「通い箱やパレットの滞留状態をリアルタイムで確認できる」(和田副社長)と用途の広がりを見込む。
2016年は40万個を納入し、17年に入っても受注が伸びている。金属品があふれている現場であれば、そこに需要がある。「もう少し小さくできないか」といった引き合いもあり、新たな開発に取り組んでいる。
(金沢支局長・本荘昌宏)
(木曜日に掲載)
(2017/7/6 05:00)
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