- トップ
- 科学技術・大学ニュース
- 記事詳細
[ 科学技術・大学 ]
(2017/7/10 05:00)
政府は国立大学と国立研究開発法人が株式などを対価として取得できる条件を緩和する。大学発ベンチャー(VB)などから施設使用や技術指導の対価としても取得できるよう、対価の範囲を拡大する。取得した株式についても長期保有できるようにし、国立大などが売却益を得やすい仕組みとする。国立大などが財源確保に向けて、株式を戦略的に活用できるようになる。
国立大学は文部科学省の2017年度中の通知で緩和する方針。国研は次期通常国会での法改正により実施する計画だ。
国立大による株式と新株予約権の取得は限定されている。技術移転機関(TLO)への出資を除くと寄付か特許ライセンスの対価に限られている。さらにVBへの出資の場合は上場などで換金可能になった直後に売却しなければならなかった。
今後は、VBが入居する大学インキュベーション施設の家賃、設備の使用料、大学研究者のコンサルティング料、研究開発データの活用などの対価として株式などを取得できるようになる。さらにVBの上場後も株式を長期保有できるため、値上がり時期を見て売却益を得られる。
政府はこれまで国立大などに対し、本来業務外の活動による利益やリスクを抑制する方針を採ってきた。しかし運営費交付金の低減など背景に、近年は自己収入拡大に向けた規制緩和を進めている。
東京大学では関連VBが約280社あり、時価総額は約1兆3000億円に上る。これらの株式の1%を東大が取得していれば、キャピタルゲインは130億円になったという試算もされている。
(2017/7/10 05:00)