[ 地域経済 ]
(2017/8/7 05:00)
農林業機械メーカーのやまびこ、山形大学、飯豊町、山形銀行の4者は、電動農機具開発に関して連携する。刈払機や芝刈りロボットなどリチウムイオン電池を搭載した製品の電池性能の向上や県内企業との連携による新製品開発などにつなげる。8月から町内の生産者がモニターとなり、実証試験などに取り組む。(山形支局長・大矢修一)
【安全性を第一】
山形大学とやまびこが電動農機具などを題材に共同研究を始める。拠点はリチウムイオン電池の試作評価研究施設「山形大学xEV飯豊研究センター」(飯豊町)に置く。今後、開発途上国を含め海外などでエンジンの排ガス規制が厳しくなる中、現状の電動農機具の課題である出力不足や稼働時間などの解決に向け、産学官金でタッグを組む。やまびこの前田克之取締役専務執行役員は「今後2年ぐらいで結果を出していきたい」とし、飯豊町をテストフィールドとする山形大などとの連携に期待を示している。研究の方向性としては電池の安全性を第一に、駆動時間の長時間化、軽量化などを目指す。山形大の蓄電デバイス部門を担う吉武秀哉教授は「新しい電源を提案していく」と話し、各種農機具に適した電池開発を進める考えだ。
【銀行が仲介役】
稼働時間については、電動農機具の種類にもよるが目標として一つのバッテリーで1時間の稼働を狙う。例えば、電動刈払機での実作業時間は現在、使用条件にもよるが、おおむね30―40分程度になるという。生産者がモニターとなる実証試験では、同社がすでに国内外に市場投入している「第1世代」と称する電動農機具を使い、現場の課題などの声を集め、製品改良や山形銀を仲介役とした県内企業との連携による新製品開発を模索している。
xEV飯豊研究センターは材料開発から電池システム、試験評価までワンストップ開発拠点。施設整備は山形大と飯豊町が主体で、2016年1月に完成した。
【飯豊から変革】
同センターを拠点に産学官金が連携し、農村から最先端の研究開発成果を発信するプロジェクト「飯豊電池バレー構想」が始動する。今回のやまびことの共同研究は、メーカーの顔が見える連携プロジェクトとして注目される。飯豊町の後藤幸平町長は「新たな一歩になる。生産者にとっても農機具の進化を支えるのは励みになる」と飯豊からのイノベーション創出を強調しつつ、町の発展に期待をかける。
(2017/8/7 05:00)
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