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[ 科学技術・大学 ]
(2017/8/19 18:30)
三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は19日14時29分、地上の位置と時刻を正確に特定できる準天頂衛星「みちびき」3号機を搭載した国産ロケット「H2A」35号機を種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げた。その約29分後、衛星の分離に成功した。みちびき3号機は10日間ほどで3万6000キロメートル上空の静止軌道に到達。機能確認などを行い、12月ごろから測位試験サービスを始める予定。
みちびきは日本版全地球測位システム(GPS)と呼ばれ、内閣府が運用している。数センチメートルの精度で位置を決められる機能を利用し、自動運転や農業などのビジネスにつなげる。10月にも4号機を打ち上げ、2018年度から4機体制で本格稼働する。
打ち上げ後の会見で、松山政司宇宙政策担当相は「世界に先駆けたセンチメートル級の測位システムを構築するため、17年度内のみちびき4機体制を目指したい」と意気込みを語った。林芳正文部科学相は「車の自動運転などへの利用が期待できる」と強調した。
1、2、4号機は静止軌道に対し軌道面を40–50度傾けた楕円(だえん)軌道上の「準天頂軌道」を取るのに対し、3号機は気象衛星「ひまわり」などと同じ静止軌道を取る。さらに他の機体にはない、地震などの災害時に関係機関へのメッセージ機能も付加する。2–4号機の開発や運用、打ち上げなどの費用は2000億円強。
3号機を載せたH2Aは12日午後に同センターから打ち上げられる予定だったが、エンジンのバルブの開閉に使うヘリウムガスが漏れている可能性があるとして打ち上げを中止。三菱重工はタンクに異物が混入したことが原因と特定し、対策を施した。
ロケット打ち上げの執行責任者である二村幸基三菱重工執行役員フェローは「決まった日時にロケットを打ち上げられなかったことは残念。だが不備がある状態の機体の打ち上げを止められたことは良かった。原因を解明し、次の打ち上げにフィードバックしていきたい」と説明した。
(2017/8/19 18:30)