[ 機械 ]
(2017/8/22 05:00)
【21世紀型普通旋盤 VERSEC】
サイダ・UMS(静岡県焼津市、斎田久人社長、054・624・6155)は“21世紀型普通旋盤”と打ち出した「VERSEC(ヴェルセック)」で汎用旋盤の進化の形を示した。
数値制御(NC)を使わず、基本構造はそのままに「メカ的な、ダイレクトな感覚を残しながらNCが持つ自由度を融合した」(斎田安弘専務)。作業者は色鮮やかに彩られたコントロールパネルをオーディオ機器の操作に似た感覚で、切削条件を自由に設定・コントロールできる。
創業90周年の2011年から開発に着手。工作機械メーカー向けのOEM(相手先ブランド)供給を主力とする一方で、自社製品の舶用旋盤という船に設備する普通旋盤は苦戦していた。それでも「多品種少量でロットが小さくなり、汎用旋盤の需要はあるはず」(同)と一念発起する。
造形作家の鯱丸邦生氏に旋盤デザインを打診。コンセプトを(1)シンプル(2)拡張性のある道具(3)所有する喜びを満たすデザイン―の3要素に設定した。
ひときわ目を引く色鮮やかな操作パネルは、アイコン化した各種スイッチなどを的確にレイアウトし、作業者が見やすい角度に調整できる。デザイン面から作り込んでいるものの操作性、安全性に配慮し、カスタマイズによって進化できる可能性を随所に宿らせた。
主軸、送り、ねじ切りをそれぞれ別々のモーターで電気的に制御。主軸にインバータドライブ、各種送りにサーボドライブを搭載し、主軸速度にとらわれず、送りを自由にコントロールできる。
「操作性、切削の条件幅が圧倒的に広いので使いやすい」とユーザーの評価は上々。価格は780万円と割高だが、自動車関連などから12台を受注。今後シリーズ化を予定する。
教育現場向けにも提案し、創業100周年を迎える21年には「全国教育機関で採用が進み、新工場を建設できるくらいにしたい」(同)。サイダの挑戦は始まったばかりだ。
(静岡支局長・伊奈淳一)
(2017/8/22 05:00)