[ 機械 ]
(2017/8/23 05:00)
【マルチセンサ測定機 ZEISS O―INSPECT 863】
接触式、画像、非接触式の三つのセンサーを搭載するカールツァイスのマルチセンサ測定機「ZEISS O―INSPECT 863」。洗練されたシンプルな外観デザインとは対照的に、複数のセンサーを使い分けて複雑形状の成形品を効率的に測定できる。
セールスディパートメント・アプリケーションディパートメントの竹田和博マネジャーは、「接触式センサーでの測定を基本としつつ、微細化が進む機械部品は非接触式の『ホワイトライトセンサ』で測定できる」と、高度化するモノづくりへの対応力を強調する。
接触式センサーは、一つの測定経路で多くの測定点を取得できる。一般的な測定機では高い測定力でシングル点測定しかできない場所でも、同社の測定機はミリニュートンレベルの小さい測定力でスキャニングが可能。このため、薄板状のワークでも3次元(3D)測定の精度を保てる。
一方、非接触式のホワイトライトセンサは、共焦点の原理を応用した光学式距離センサーで、稼働する機械的な機構がないため外乱に強い。スマートフォンや医療器具などの微細な部品を安定的に測定できる。
さらに同測定機は、3D測定機、形状測定機、投影機、顕微鏡の四つの機能を併せ持つ。測定箇所に応じてセンサーも使い分けることで、対象物を別の測定機に移して座標系や測定プログラムをつくり直す必要がない。対象物の1回の固定、一つの座標系とプログラムで測定を完結し、各センサーの測定結果を融合した評価も可能。
CADモデルに含まれる製品の寸法公差などを測定プランの形式に自動で取り込み、部品の不良原因も容易に発見できる。開発期間の短縮ニーズが高まる中、「1台で検査コストを大幅に削減できる」(竹田マネジャー)と力を込める。
ドイツから日本に進出して100年以上の実績がある同社。部品の微細化などが進む日本のモノづくりを、同社の精密・光学技術が支える機会はさらに増えていきそうだ。(田中明夫)
(2017/8/23 05:00)