[ 機械 ]
(2017/8/25 05:00)
【横形マシニングセンタ BMシリーズ】
工作機械は複雑で多様な加工を自動で行うマシニングセンター(MC)が“中心選手”となり、中でも横型MCの開発競争が活発だ。東芝機械はMCの国内最古参級だが、超大型旋盤や門型加工機、横中繰りフライス盤といった製品が主力。今回受賞した「BMシリーズ」は、横型MCの新規開発品としては、ほぼ20年ぶりだ。
激戦区に実質的な再参入を果たした格好となる。稲津正人工作機械事業部副事業部長は「競合が多く、身を引き締めないといけない」と率直に思いを打ち明ける。
ただ、世の中に多くあるMCと真っ正面から対峙(たいじ)するのではなく、「各社の品ぞろえから抜けている大きさがあり、そこを埋めた」と手薄な分野をターゲットにした。自動車エンジンの小型化、電気自動車(EV)化、リージョナルジェットの台頭などの新しい時代の流れに沿い、1―1・5メートルの大きさのワーク(加工対象物)が増えているといい、そこを狙った。
この大きさのワークを加工できるMCとしては省スペースなつくりだ。セットしたワークの供給・取り出し装置の構造を見直した。従来はワークを置く二つのパレットを左右に並ばせていたが、これを前後に配置し、回転させる。構造を改めたことなどで空間を有効活用できるようになった。つまり、装置内のスペースが広がり、内部で人が作業しやすくなったのだ。
開発には若手技術者を積極採用し挑んだ。宇佐美幸一主任を中心に、30代前半の加藤友泰第一技術担当、20代後半の杉山寛弥電気担当らを登用。同社として、初めて3D(3次元)CADソフトウエアをフル活用した製品と言えるほど、機械・電気設計、構造解析などに3Dデータを使い尽くした。これをきっかけに、「開発期間は1年ほどと短期で済んだ」(宇佐美主任)という成果を生んだ。
同社伝統の横中ぐりフライス盤は市場が縮小傾向という。横型MCを、次代を担う製品に育てる必要があり、まずは若い布陣でその種を蒔(ま)いた。(六笠友和)
(2017/8/25 05:00)