[ 機械 ]

第47回機械工業デザイン賞(16)審査委員会特別賞−東芝機械

(2017/8/25 05:00)

  • 横型MCと開発陣(左から)宇佐美主任、稲津副事業部長、加藤第一技術担当、杉山電気担当

【横形マシニングセンタ BMシリーズ】

工作機械は複雑で多様な加工を自動で行うマシニングセンター(MC)が“中心選手”となり、中でも横型MCの開発競争が活発だ。東芝機械はMCの国内最古参級だが、超大型旋盤や門型加工機、横中繰りフライス盤といった製品が主力。今回受賞した「BMシリーズ」は、横型MCの新規開発品としては、ほぼ20年ぶりだ。

激戦区に実質的な再参入を果たした格好となる。稲津正人工作機械事業部副事業部長は「競合が多く、身を引き締めないといけない」と率直に思いを打ち明ける。

ただ、世の中に多くあるMCと真っ正面から対峙(たいじ)するのではなく、「各社の品ぞろえから抜けている大きさがあり、そこを埋めた」と手薄な分野をターゲットにした。自動車エンジンの小型化、電気自動車(EV)化、リージョナルジェットの台頭などの新しい時代の流れに沿い、1―1・5メートルの大きさのワーク(加工対象物)が増えているといい、そこを狙った。

この大きさのワークを加工できるMCとしては省スペースなつくりだ。セットしたワークの供給・取り出し装置の構造を見直した。従来はワークを置く二つのパレットを左右に並ばせていたが、これを前後に配置し、回転させる。構造を改めたことなどで空間を有効活用できるようになった。つまり、装置内のスペースが広がり、内部で人が作業しやすくなったのだ。

開発には若手技術者を積極採用し挑んだ。宇佐美幸一主任を中心に、30代前半の加藤友泰第一技術担当、20代後半の杉山寛弥電気担当らを登用。同社として、初めて3D(3次元)CADソフトウエアをフル活用した製品と言えるほど、機械・電気設計、構造解析などに3Dデータを使い尽くした。これをきっかけに、「開発期間は1年ほどと短期で済んだ」(宇佐美主任)という成果を生んだ。

同社伝統の横中ぐりフライス盤は市場が縮小傾向という。横型MCを、次代を担う製品に育てる必要があり、まずは若い布陣でその種を蒔(ま)いた。(六笠友和)

(2017/8/25 05:00)

機械・航空機1のニュース一覧

おすすめコンテンツ

ゴム補強繊維の接着技術

ゴム補強繊維の接着技術

事例で解決!SCMを成功に導く需給マネジメント

事例で解決!SCMを成功に導く需給マネジメント

集まれ!設計1年生 はじめての締結設計

集まれ!設計1年生 はじめての締結設計

これで差がつく SOLIDWORKSモデリング実践テクニック

これで差がつく SOLIDWORKSモデリング実践テクニック

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン