[ ロボット ]
(2017/8/26 12:00)
アップルが人工知能(AI)の一種である機械学習について初めて社外に公開した研究論文が、権威ある機械学習の国際会議で最優秀論文賞に選ばれた。対象論文は7月21〜26日までハワイで開かれた「コンピュータービジョンとパターン認識国際会議」(CVPR 2017)で口頭発表されたもの。CVPRに提出された約2600本の論文の中から、これを含めて計2本が最優秀論文賞を受賞している。
受賞論文はもともと、米コーネル大学図書館が運営する著名論文共有サイト「arXiv(アーカイヴ)」に2016年12月に投稿されたもの。顔などの物体を認識するニューラルネットワークを効率的に訓練するのに、コンピューターによる合成画像を使いながら、その合成画像をリアルに見せるための技術的な手法について述べている。
アップルは製品開発の方向性や研究内容を公開しない秘密主義で知られ、AIについても同様の方針を貫いていた。ただ、企業の技術開発と異なり、アカデミア主導のAIでは積極的に論文を公開し、研究者同士が議論しながら交流を深めていく文化が根強い。そのため、優秀なAIエンジニアはアップルより、グーグルやアマゾン、フェイスブックはじめ、よりオープンな研究環境のIT企業に行きたがる傾向が強く、アップルがAIの研究開発で後れをとる理由の一つになっていたとも言われる。
そこでアップルはAI研究での論文公開に舵を切り、その一環として7月には「アップル・マシンラーニング・ジャーナル」という機械学習の研究成果についての共有サイトをオープン。このサイトには今のところ、今回受賞した論文や音声アシスタント「Siri(シリ)」の音声認識などについて、4つの成果内容を掲載している。
(2017/8/26 12:00)