[ 環境・エネルギー ]

【電子版】「怪物」のような巨大風力発電登場へ クリーンエネルギーで2つの転換点

(2017/9/21 10:30)

(ブルームバーグ)再生可能エネルギーのコストは、数年前の予想を上回るペースで低下している。巨大風力タービンなどの技術が市場に投入されるためだ。

これは、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)が出した結論だ。同社の創業者マイケル・リーブライヒ氏は、2040年までの発電向け投資10兆2000億ドル(約1140兆円)のうちクリーンエネルギーが86%を占めると予測する。

同氏は19日、ロンドンでの会議で、風力・太陽光発電施設のコストの低下につながる技術が利用されることにより、クリーンエネルギーは多くの場所で発電所にとって化石燃料よりも低コストになると予想。最も目に見える進歩は、下のチャートに示したような風力タービンの規模の変化だ。

  • 今後大型化が見込まれる風力発電施設(BNEF)

  • 日本とインドにおける発電方式ごとの発電コスト(メガワット時あたり)の推移(BNEF)

BNEFは本格的にデータ収集を開始した04年に、既に風力発電業界で設備の規模が拡大する傾向を見込んでいた。大規模な発電設備は、ドイツのシーメンスやデンマークのベスタス・ウィンド・システムズなどが計画しているモデルと共に進歩する見通しだ。これらの企業は既に、羽の全長が航空機「エアバスA380」を超える大きさの設備を納入している。

2020年代の早い時期にさらに大きな設備が導入される見通しであることから、ドイツの洋上風力発電施設の開発業者は、次のプロジェクトでは補助金を受けずに電力を供給することを約束した。

「こうした洋上風力発電施設の建設コストが補助金なしでも競合可能な水準に低下する理由の一つは、これらのタービンがまさに怪物だからだ。ロンドンの超高層ビル、ザ・シャードより高いタービンを想像してみてほしい」とリーブライヒ氏は語る。

同様に、より低いコストでより多くの太陽光発電設備が製造されるようになっている。リーブライヒ氏は、再生可能エネルギーのコスト面の理由から天然ガスと石炭による発電の魅力が一層低下する二つの「転換点」を予測している。

「一つ目の転換点は新規の風力・太陽光発電のコストが他の発電方法より安くなる時だ」と指摘。プレゼンテーションで同氏が提示した下のスライドでは、日本では25年までに新規の太陽光発電施設の建設コストが石炭火力発電所より低くなるとの見通しが示されている。インドでは30年までに風力発電施設の建設コストが石炭火力を下回ると予想される。

二つ目の転換点は、ほんの少し先のことだ。既存の石炭・ガス発電所の操業コストが風力・太陽光よりも高くなる時だ。BNEFの予想を示したチャートは、ドイツと中国で20年代半ばにその転換点が来る可能性があることを示唆している。

原題: Tipping Point Seen for Clean Energy as ‘Monster’ Turbines Arrive(抜粋)

(2017/9/21 10:30)

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