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モノづくり日本会議、東北、関東、関西でイベント—「つくる」を通じた価値創造、地域づくりの事例など紹介

(2017/9/23 07:30)

  • 子どもたちは旗を掲げ、完成した秘密基地に満足げ

【北上ライフスタイルデザインプロジェクト/岩手県北上市】

岩手県北上市で8月20日、2回目となる「木育(もくいく)ワークショップ」と「秘密基地プロジェクト」の完成披露会が行われた。これらは市と東北大院の古川柳蔵准教授、三橋正枝助手などが連携して進める「北上ライフスタイルデザインプロジェクト」の一環。子どもたちはワークショップで資源を長く使うことの重要性を学んだ後、大人と力を合わせ、秘密基地を完成させた。

地域一体で秘密基地づくり/秘密基地の完成披露会を開催

  • 上回転しながら落下するフタバガキの種子の模型を不思議そうに見つめる

2回目となる木育ワークショップでは初めに、自然や生物が持つ優れた機能を賢く生かすネイチャー・テクノロジーについて学んだ。内部の温度を一定に保つアリ塚の構造を商業施設に生かした事例や、オナモミの実のかぎ針構造を模倣してマジックテープが作られたことなどを三橋助手が子どもたちに紹介。子どもたちは身の回りのネイチャー・テクノロジーに興味津々だった。さらに、2枚の羽根が付いていることで回転しながら落下する。フタバガキの種子の構造を、子どもたちは実際に工作することで学習。ネイチャー・テクノロジーを楽しみながら学んでいた。

その後、初回のワークショップで製作したまな板の修理を開始。2カ月間使用することで付いた傷を丁寧にヤスリ掛けし、食用油でコーティングすることできれいにした。菅野花菜実さん(小学5年生)は「きれいになったまな板を家族にまたたくさん使ってもらいたい。家で使うのが楽しみ」と話した。次回のワークショップでまな板を他の製品に作り替え、長く資源を使うことの重要性を学習する。

  • 子どもたちは完成した吊り橋を夢中で駆けた

秘密基地の完成披露会には、子どもや保護者、市職員などが参加。子どもたちは秘密基地の旗を誇らしげに掲げ、完成を喜んだ。秘密基地づくりは与えられた楽しみではなく、楽しみを自給するライフスタイルを実践することを目的に、6月から進められてきた。これまで、木の上の足場や滑り台、テーブル、ブランコなどを製作。同日は、子どもたちが中心となり、秘密基地に掲げる旗を作った。秘密基地づくりを中心となって進めた秘密基地プロジェクト実行委員会の菅野正史実行委員長は「今後も秘密基地で定期的にイベントを行い、地域住民が集まれる場にしたい」と力を込める。

古川准教授は「自然の中での秘密基地づくりを通じて、子どもたちは自然のすごさをたくさん学べたと思う。秘密基地づくりはこれで終わりではなく、次の世代に引き継いでいってほしい」と期待を寄せる。参加した高橋里桜さん(小学5年生)は「本格的なモノづくりを体験するのは初めて。一人だとうまくいかなかったことも、みんなでやるとうまくいった。秘密基地づくりはとても楽しかった」と秘密基地づくりを通じて成長した様子だった。

北上ライフスタイルデザインプロジェクトは科学技術振興機構社会技術研究開発センターの研究課題に採択された事業の一環。モデル地域でのフィールドワークを通じ、地域に適したライフスタイルを創出する基盤構築を目指す。モノづくり日本会議ネイチャー・テクノロジー研究会も社会実装などを支援している。

【特別講演会:オラクルひと・しくみ研究所代表の小阪裕司氏/パシフィコ横浜】

モノづくり日本会議は9月8日、横浜市西区のパシフィコ横浜で特別講演会「『人の心と行動』を軸に売上と顧客を創る方法―製造業で価値創造型の成果が生まれるには」を開いた。「難加工技術展2017」「表面改質展2017」(日刊工業新聞社主催)会場で、オラクルひと・しくみ研究所代表の小阪裕司氏が製造業を中心とする来場者に、価値創造型活動の理論、実践手法を事例を基に説明した。

「価値あるもの」を売る/顧客の感性に働きかける活動継続を

  • オラクルひと・しくみ研究所代表の小阪裕司氏

これまでモノづくり日本会議の「価値創造型サプライチェーン検討会」において、サプライチェーンがバリューチェーンとして機能していないという問題提起を行ってきた。川上の人がやっていることの価値が川下にほぼ伝わっていないために、川下で正当な対価を取ることができない。そこで価値をいかに対価に変えていくかについてお話ししたい。

事例を挙げる。過疎地に廃業を決めたスーパーマーケットがあった。個人経営の小さなスーパーで、近くに大手スーパーが進出してきたが、価格競争力もなく対抗できるとは思えないとし廃業を決めた。だが、業績はV字回復し、過去最高の売上高を記録した。

なぜか。そのスーパーの価値を見いだし、伝えるよう努力したからだ。原因を間違えると答えは出ない。業績が悪いと競合店のチェックをしがちだが、まず着目すべきは「お客さまの行動」だ。

スーパーで言えば、まずお客さまが「来る」という行動を起こすことが必須だ。「来る」の次は「買う」という行動。来て買わないと売り上げには結びつかない。つまり売り上げは行動が作るというわけだ。

では、どうやれば客の行動を生み出せるのか。行動を作るのは「人の心」だ。「人の心をつかむ」には一つの必殺技があるわけではない。やるべきことはいろいろある。展示会のブースひとつ作るにも、人の心をつかむブースにすると、100枚しか集められなかった名刺が、500枚集まるようになる。受注も従来の5倍になるはずだ。人にフォーカスすることで、対価につながり、商品も良くなっていく。

客は安いものを買うのではなく、価値あるものを買う。皆さんの商品がいかに感性に働きかけられるのかを考えていただきたい。お客さまに働きかけて行動してもらう活動、次に行動し続けてくれるお客さまを必要十分に保持する活動を続けることで、状況は打開できる。価値創造活動を進めていただきたい。

【京都スマートシティエキスポ2017/関西文化学術研究都市】

スマートシティーの国際会議「京都スマートシティエキスポ2017」が、モノづくり日本会議も協力して、9月28、29の両日、関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)のけいはんなオープンイノベーションセンター(KICK、京都府木津川市)などで開催される。スペインで開かれた世界最大級の国際会議「スマートシティエキスポ世界会議」と連携。また今年は、京都議定書誕生20周年、けいはんな学研都市30周年を記念する。各種講演やセミナーのほか、KICKでは約90の企業や研究機関、団体による展示会が開かれるなど、注目が集まっている。

Iotによる未来社会など展望/28・29日開催

  • スマートシティーの国際会議「京都スマートシティエキスポ2017」が28、29の両日、京都で開かれる(昨年のパネル討論会)

  • スマートシティーの国際会議「京都スマートシティエキスポ2017」が28、29の両日、京都で開かれる(昨年の展示会場)

今回は「安寧で持続的な未来を創る地域と産業」をメーンテーマに設定。28日の国際シンポジウムでは片山幹雄日本電産副会長兼CTOが「IoTによる未来社会―ロボット、モーターモジュールが作る社会」と題して記念講演する。

2日間行われるスマートセミナーでは、28日にダッソー・システムズのアレクサンドル・パリルシアン氏と、シンガポール首相府のジョージ・ロー氏が「『バーチャル・シンガポール』プロジェクトに学ぶ、自治体主導のスマートシティ形成」を基調講演する。29日はソフトバンク専務兼CTOの宮川潤一氏が「ソフトバンクが考える未来のIoT社会」と題し記念講演を、米セールスフォース・ドットコムのリチャード・ソーチャー氏が「AIはどのように社会に貢献できるか」を基調講演する。このほか各会場では、スマート社会実現に向けたさまざまなテーマで活発な議論が展開される。

2日間にわたって行われるスマートシティセミナーでは、28日にダッソー・システムズスマートシティ担当バイス・プレジデントのアレクサンドル・バレ氏と、シンガポール首相府プログラム部門ディレクターのジョージ・ロー氏が「『バーチャル・シンガポール』プロジェクトに学ぶ、自治体主導のスマートシティ形成」、29日にはソフトバンク専務兼CTOの宮川潤一氏が「ソフトバンクが考える未来のIoT社会」を記念講演する。このほか各会場では、スマート社会実現に向けたさまざまなテーマで活発な議論が展開される。

展示会は「スマートイノベーション」や「スマートライフ&アグリ」など7ゾーンで構成。環境・エネルギーや今回の展示で特徴的なヘルスケアやアグリ、食、植物工場などの先進的な取り組みが体感でき、新たなビジネスチャンス創出につながると期待される。さらに、ベンチャーキャピタルなどの投資家と大学発ベンチャー企業とのマッチングの場となる「KICK発スター創生事業」や、国際電気通信基礎技術研究所などを視察する「けいはんなラボトリップ」も行われる。

詳細、事前申し込みは専用ウェブサイト(https://expo.smartcity.kyoto/)へ。

(2017/9/23 07:30)

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