[ オピニオン ]
(2017/9/22 05:00)
安倍晋三首相は衆議院の解散・総選挙を決意したもようだ。争点の一つに、2019年10月に予定する消費税率10%への引き上げで得られる税収の使い道が浮上している。どんな政権であろうと、消費増税が実現しなければ、財政健全化も「人づくり革命」も進まない。3度目の増税延期という選択肢を排除して民意を問うてもらいたい。
衆院選は10月22日の投開票が軸となる見通し。首相は選挙を見据え、消費増税の使い道を、幼児教育・保育の無償化や高等教育の負担軽減などにも充当する検討に入った。国債の償還などに充てるはずだった財源の一部を、これら教育分野に振り向けることで調整中だ。
幼児教育の無償化は少子化対策や、家計の負担軽減による消費喚起などを期待できる。一方で国の“借金”に回す財源が削られる。高齢化の進行に伴って社会保障関係費は増え続け、膨張した公債金残高は将来世代が負担する必要がある。目先の幼児教育無償化が、将来世代の負担をさらに重くするリスクになりかねない。
足元の個人消費の回復力が弱いのは、国民の将来不安が払拭(ふっしょく)されないからだ。社会保障の持続可能性を担保しない限り、家計の財布のヒモを緩めるのは容易ではない。
政権には四つの施策を求めたい。第1は、19年10月の消費増税の確実な実施だ。仮に延期となれば約5兆円もの財源が吹き飛び、元も子もなくなる。
第2は、税制の議論を消費税にとどめないことだ。所得税改革をはじめとする税体系全般を見直す過程で、社会保障財源を確保したい。これが実現できれば、消費増税の使途を教育分野に拡大しても財政余力が生まれよう。そして第3が歳出改革、第4が「強い経済」の実現である。
強い経済を実現するには、従来の短期的な需要下支えから、日本の低い潜在成長率を引き上げる構造改革を中長期で講じる必要がある。財政規律の順守により、将来不安を払拭しつつ、新たな成長軌道を描くことが政権に求められる。
(2017/9/22 05:00)
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