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(2017/9/26 05:00)
■アクセスランキング・ベスト10(9/18~9/24)
1位 ノーベル賞の発表迫る-日本人受賞者、4年連続誕生なるか
2位 深宇宙探査機と途切れず交信 JAXAとNASA、「はやぶさ2」で成功
3位 スズキ、次期ジムニー生産工場を移管 量産専用ライン新設
4位 パワー半導体向けSiCトランジスタ、移動度60%向上-東芝が新技術
5位 東芝メモリ売却、日米韓連合と詰めの協議 米有力企業が存在感
8位 EVに商機 中堅・中小、電池・軽量化に磨き 新規参入組も
9位 東レ、燃料電池車の水素タンク素材 18年初から海外生産
10位 有機ELディスプレー市場、22年3倍の4兆6140億円
■解説:ノーベル賞の発表迫る−日本人受賞者、4年連続誕生なるか(9/22)
21世紀に入ってから日本の自然科学3賞でのノーベル賞受賞は米国籍2人を含め16人。米国に次いで多い。だが、喜んでいる場合ではない。それどころか昨年、生理学医学賞を受賞した東京工業大学の大隅良典栄誉教授が、「このままではいずれ日本からノーベル賞が出なくなる」と話しているように、研究者の間には危機感が広がっている。
理由は研究予算の厳しい台所事情と、日本発の論文数の停滞。翻って中国からの論文は量だけでなく、質(被引用数)もともに伸びている。研究費を増やしているのに加え、欧米などとの国際共同研究の増加が良質な論文の拡大生産につながっているのだ。
一方、9月5日に英タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が発表した大学ランキングでは、東京大学46位、京都大学74位と、日本の大学は200位以内に2校しか入らず、シンガポール国立大がアジアのトップだった。「ランキングに一喜一憂する必要はない」という大学関係者の声もあるが、オオカミの遠吠えにも聞こえる。ある東大の工学系の教授は「大学ランキングを見た外国の優秀な学生は東大に来ないで、シンガポールの大学などに行ってしまう。どんどん負のスパイラルになっている」とこぼす。
大学ランキングで日本の大学の地位低下の理由として指摘されているのが、研究人材についての国際流動性の不足。そもそも研究は国対国の競争ではない。海外から優秀な人材を受け入れ、国内の研究者を海外に送り出す頭脳循環こそ重要だろう。国際共著論文を増やしていけば、それが結果的に自国の科学技術力の向上にもつながる。過去の業績をもとにしたノーベル賞にばかり目を奪われ、一時の幸福感に浸っている余裕は実はない。
(2017/9/26 05:00)