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[ 環境・エネルギー ]
(2017/10/23 05:00)
世界的な電気自動車(EV)へのシフトの波が押し寄せている。フランスと英国が7月に2040年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する政策を打ち出し、中国も化石燃料車の生産や販売の禁止を検討する。自動車の燃料供給を担ってきた石油産業、EV普及に欠かせない電力産業への影響を懸念する声もある。(栗下直也)
【「脱石油」?】
環境対策強化で「脱石油」が世界的な潮流になっており、石油消費量の大半を占める自動車分野でのこうした動きは早晩予想されたことだ。昨年、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルの幹部は決算会見の場で「石油需要は5年から15年の間に、ピークを迎えるかも知れない」と語った。
ただ、業界ではこうした極端な悲観論は依然として少数派だろう。米エクソンモービルは石油消費量は2040年まで増加し続けると予想する。国際エネルギー機関(IEA)も最も可能性の高いケースとして今後数十年間は石油使用量が増加すると見ている。各国がEVシフト政策を打ち出す前だが、JXTGホールディングスの内田幸雄社長も日刊工業新聞の取材に対し、「(急激に石油需要が)なくなることはない」と語った。
【十分な時間ある】
むしろ、シェール革命の影響もあり石油消費量は減少するどころか、2035年頃までは拡大するとの見方が支配的だ。供給過剰傾向にあり、油価が1バレル50ドル程度で推移するとなれば、新興国でのガソリン車の購入台数は確実に増える。EVシフトが進む中でも世界的に見れば需要が拡大する局面は続く。石油各社は、ガスや電力など新たな収益源を育てるのに十分な時間があるというのが実態だろう。
【再生エネ未知数】
化石燃料車からEVへの転換で電力の供給不足を指摘する声もある。例えばEV化を強力に打ち出す英国では総電力需要は1割強、ピーク時に最大4割増えるとの試算もある。英国は石炭火力発電所の25年までの停止を掲げており、新規原発も建設中のヒンクリー・ポイント原発を除けば住民反対とコスト高で進まない。再生可能エネルギーやガス火力発電で賄う方針だが、未知数だ。一方、「夜間電力を活用してのEVの充電や、省電力化がこれまで通り進めばエネルギー効率の改善で需要の変化に対応できる」(国内電力関係者)との見方もある。
(2017/10/23 05:00)
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