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(2017/11/26 05:00)
「第55回技能五輪全国大会」の競技が25日、栃木県内17の会場でスタートした。同県での大会開催は初めてだ。今回のテーマは「とちぎから 未来へ翔く(はばたく) 夢と技」。参加した全国47都道府県の若手技能者ら1337選手は、日ごろ磨き上げた技術を存分に発揮した。各会場には競技に参加する企業や学校の応援団はもちろんのこと、地元の中高生らも多く来場し、次代のモノづくりを担う若者の勇姿に、感心するとともに目をときめかせた。競技は26日にも開かれるが、ここでは25日に繰り広げられた競技の模様を紹介する。
【機械組立て】
会場で支給される部品をヤスリで仕上げ、組み立て調整を行い、動作機能の確認までを行う。単品部品と組み立て品に求められる寸法精度は0.01ミリメートル以内。手仕上げの熟練度に加え、繊細な組み立て技能も必須となる。今年の競技課題は『マイクロ穴加工装置』。装置の円滑な動作を実現するための部品の手仕上げ作業に加え、測定の正確さ、組立調整で技を競う。23日に競技が先行しており、25日にも行われる。
【フライス盤】
モノづくりの基盤技術。六面体、直溝、勾配溝、T溝、あり溝、穴加工などの要素技術で構成された課題を時間内に作成し、出来栄えを競う。寸法精度に加え、見た目の美しさも求められ、テクニックとスピードが必要となる。技能だけでなく、円滑に作業を進める“段取り力”も求められるのが特徴。工具の選定や作業手順の構築など日々の鍛錬が試される。20-23日で先行して競技が始まっており、25日にも行われる。
【電工】
「電工」は家庭やビルなどにおける電気設備の工事を指す。スイッチやコンセントの取り付け、産業機械や照明への配線、電線保護のための配管などを行う。競技は代表的な工事である金属管工事、合成樹脂管工事、ケーブル工事、ダクト工事などを組み合わせた課題で腕前を競う。素早く正確な作業が求められるだけでなく、実際に使用される場面での扱いやすさを想定して見栄えをきれいに施工できるかどうかも大きなポイントとなる。
【精密機器組み立て】
「精密機器組み立て」では旋盤やフライス盤などを用いた機械加工と、ヤスリを使った手作業によって部品を加工、調節し、組み立てる。工作機械で仕上げて精密に加工したり手先の感覚で加工具合を微調整する技能を要し、プラスマイナス0.001ミリメートルという高い精度が求められる。競技時間は7時間で競技も公表されているが、当日に課題の一部が変更されるため、柔軟に対処する気持ちの余裕を持てるかどうかも勝敗を左右する。
【自動車板金】
自動車の車体外板は専用のプレス金型で大量生産される。ただ、量産前の試作車やクラッシックカーの復元などでは手加工を中心とした「自動車板金」の技能と技術が求められる。同職種では一枚の平らな鋼板で自動車車体をモデル化した複雑な曲面形状の製品を手加工で成形する。自動車だけでなく、建築装飾や芸術品など幅広く通じる技能とされる。
【電気溶接】
制限時間は4時間25分。ティグ溶接やマグ溶接など複数の溶接技術を駆使して五つの課題をこなす。高い精度を維持することが難しいとされる異素材などを接合する一方、寸法誤差は0.1ミリメートル以下を目指す。課題の難易度は年々高まっているが、モノづくりにおける基盤技術とされ、参加者数も増加傾向にある。
(2017/11/26 05:00)