[ ICT ]
(2017/12/9 10:30)
本当の狙いはAR技術か
街中やテレビ、ラジオ、映画などで流れている音楽から曲名を特定するアプリで知られる英シャザム(Shazam、ロンドン)に対し、米アップルが進めている買収交渉が最終段階を迎えていると複数の欧米メディアが報道した。ハイテク関連メディアの米recordによれば、来週にも発表される見通し。買収額は4億ドルに上るとしている。
シャザムは1999年設立。2016年9月には累計10億を超えるアプリのダウンロードを達成している。スマートフォンやパソコンに対応したアプリで曲名を特定するだけでなく、その音楽についてアップルのiTunesをはじめとする音楽サービスにユーザーを誘導し、手数料収入を得ていた。2016年の売上高は5400万ドル。
アップルとしては、同社を買収することによりシャザムのブランドを手に入れると同時に、iPhoneやiPadのiOSに音楽認識機能を標準で組み込むものと想定される。さらに、音楽サービスで競合する「スポティファイ」や「グーグルプレイミュージック」向けのシャザムのサービスを閉鎖することで、差別化を図る狙いもあるとみられる。
一方でシャザムは、スマートフォンのカメラを雑誌やポスター、広告、パッケージなどにかざすと、そのブランド名に応じて3Dアニメーションなどをスマホ画面に表示する拡張現実(AR)の技術基盤も持つ。そのため、競合が次々に登場し、最近ではシャザムの革新性が薄れてきた音楽認識技術に比べ、ARの開発に力を入れるアップルにとってはAR技術の方が魅力的との見方もある。
シャザムをめぐっては、「スナップチャット」を提供する米スナップも買収を狙っていたという。
(2017/12/9 10:30)