(2024/11/15 05:00)
「メディカル・ツーリズムをやらないのは“もったいない”」。国際経済交流財団の豊田正和会長は唱(とな)える。同財団は、サービス産業を日本の成長の源泉にすべきという政策提言をまとめた。
医療を受けに海外から訪れる客は2019年の推計で、マレーシアで120万人、シンガポールと韓国でそれぞれ50万人。だが日本では2万-3万人にとどまる。外国人相手で自由診療となるため、金持ち優遇と捉えられる事業にためらいがあるようだ。
日本では地方の医師不足が深刻化。経営が厳しい病院も少なくない。医師の報酬も諸外国と比べて多いとは言えない。メディカル・ツーリズムはそうした現場の活性化にもつながる。
サービス産業では、ITの従業員1人当たりの売上高が日本は1900万円と、米国の3000万円に見劣りする。観光の外国人来訪客は24年に3310万人が見込まれるが、フランスは1億人。アニメなどエンターテインメントも後れを取る。海外で評価されるおもてなし、クールが、十分な利益を上げていない。
成長のカギは人材という。広い視野で事業戦略を立て、海外需要を呼び込める人材を育てたい。いつまでも価値の安売りでは“もったいない”。
(2024/11/15 05:00)