- トップ
- 科学技術・大学ニュース
- 記事詳細
[ 科学技術・大学 ]
(2018/1/9 05:00)
北海道大学や中国科学院などの国際研究グループは、相手をよく知るような人間関係を構築できる環境下では、相手に懲罰を行うと、報復されやすくなることを社会実験を通じて明らかにした。相手に懲罰を加えると、相手が協力的な行動を取りやすくなるという従来の仮説を覆す結果となった。
実験ではまず中国の大学生男女225人を対象に、三つのグループに分けた。分けられた各グループは、中の1人が別の2人に対し「協力」か「裏切り」かを選択するゲームを集団で50回行う。選択がそろったり、違う場合などで異なるスコアを与える。
三つのグループは、1回の実験ごとに選択する相手を変える「シャッフル」、選択相手を固定する「ネットワーク」、さらにネットワークの条件に加え、協力と裏切りだけでなく「懲罰」を選択肢に加えた「懲罰付きネットワーク」。懲罰は自分のスコアも減るが、相手のスコアがより減るように設定した。
その結果、シャッフルでは、相手のことをよく知らないため「裏切り」を選択する割合がほとんどだった。これに対して相手を認識できるネットワークでは「協力」が38%と、協力行動が誘発・維持されていた。
一方、懲罰付きネットワークでは「協力」が37%とネットワークの条件とほぼ同じだったものの、それが懲罰による効果ではないことが分かった。懲罰はむしろ、懲罰返しや裏切りを誘発し、協力的なグループの形成を阻害していたという。さらに協力的な相手を認識する能力が落ち、最終的なスコアが下がることを明らかにした。
(2018/1/9 05:00)