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[ 科学技術・大学 ]
(2018/1/15 05:00)
東北大学大学院医学系研究科の中山昌明特任教授らは、水の電気分解で生成される「電解水」を用いた新しい血液透析治療システムが、患者の死亡数と心血管病の発症リスクを下げることを明らかにした。透析合併症による就業率向上や、生活の質(QOL)の低下の改善につながる。成果は英電子版科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
国内の透析患者は30万人を超え、国の医療費を増大させている。また患者の年間死亡率は約10%と悪く、心血管合併症が主な死因となっている。
東北大と日本トリムは、電解水が合併症を引き起こす酸化ストレスを抑えることを利用する新しい血液透析システムを開発。国内の医療機関7施設で、電解水の透析群161例、通常の透析群148例を5年間観察し、効果を調査した。
その結果、透析自体の臨床的効果・安全性は両群間に差はなかったが、電解水の透析群では、透析後の高血圧が改善し、1日当たりの降圧薬の投与量の減量の効果があった。さらに電解水の透析群では通常透析群に比較して、うっ血性心不全や虚血性心疾患といったイベントの発生が41%低く、電解水を使った血液透析は、慢性透析患者の心血管病の抑制と、患者の予後改善効果の可能性を示した。
(2018/1/15 05:00)