京大ｉＰＳ論文不正／「ねつ造・改ざん」断定 データ管理の難しさ浮き彫りに

京都大学ｉＰＳ細胞研究所（ＣｉＲＡ）所属の山水康平特定拠点助教による論文に不正があったことが判明した。ＣｉＲＡの山中伸弥所長は、「実験ノートの確認やデータ提出など対策を取ってきたつもりだったが不十分だった」と悔しさをにじませる。膨大な数の研究のデータを管理する難しさが改めて浮き彫りになった形だ。（大阪・安藤光恵）

問題の論文は、ヒトｉＰＳ細胞（人工多能性幹細胞）を元に、脳と血管の物質交換を制御し有害物質の脳への侵入を防ぐ「血液脳関門」のモデル細胞を体外で作製したと主張するもの。２０１７年３月に米科学誌「ステム・セル・リポーツ」に掲載された。

しかしその直後から「結果が再現できない」と疑義情報が他の研究者から寄せられた。所内で確認を行い、同年７月に京大の通報窓口に報告した。京大は予備調査後、学外の専門家を含めた委員会で同年９月から今月９日まで本格調査した結果、「ねつ造・改ざん」と断定。論...