グラフェン、ファスナー状に結合 名大、精密な化学合成法を開発

名古屋大学の村上慧特任准教授と古賀義人大学院生、伊丹健一郎教授らは、ベンゼン環が鎖状につながった２本の鎖状分子を、ファスナーで閉じるように結合させてシート状にする新しい化学合成法を開発した。炭素材料であるグラフェンの大きさを精密に制御して作成できる。グラフェンの合成工程を短くできるほか、幅や長さによって機能特性を精密制御する研究に展開でき、新しい機能性材料の開発につながる。

研究グループは、ベンゼン環の直鎖に塩素を導入し、パラジウム触媒などで２本の鎖を結合させた。この状態で、分子内でベンゼン環をつなぐ「ショール縮環反応」を進めると、結合点を基点にファスナーを閉じるように２本の鎖が結合し、シート状のグラフェンが合成できる。

今回、結合点の作成時に２本鎖が２カ所結合する反応を開発した。２点で固定されるため、鎖が回転しにくくなり、鎖同士が隣接してショール縮環反応が進みやすくなる。

ベンゼン...