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[ 中小・ベンチャー ]
(2018/1/30 05:00)
小ロット・高速印刷を実現
【中堅・中小企業賞−シンク・ラボラトリー水性インクジェットプリンター 「FXIJ」】
「小ロット印刷に対する考えが欠けていた」とシンク・ラボラトリー(千葉県柏市)の重田龍男社長は振り返る。小ロット印刷に適したインクジェットプリンターを開発できれば、大量・高速印刷向きのグラビア方式で開拓できなかった市場が開拓できる。
目標は、揮発性有機化合物(VOC)を含まない水性インクでグラビア方式に匹敵する高速印刷と高解像度を実現することだ。50年間以上にわたって、蓄積してきたグラビア印刷のノウハウを活用して開発に挑んだ。
十数人の技術者でFXIJチームを結成して開発が始まった。ただ、ポイントとなる「インクを早く乾燥させたり、印刷フィルムを搬送したりする技術が十分ではなかった」と開発をリードした重田核常務は説明する。
そのため「プリンターとインクの開発を並行して進める必要があった」(重田社長)。温風乾燥やインクを乾燥させるユニットの形状の工夫、花王と共同開発したインクなどで課題を解決。3年がかりで開発に成功した。すでに大手菓子メーカーやパッケージ製作会社などから受注しており、1月中にも納入する計画だ。初期投資を抑え、導入しやすくするため、月額250万円程度(消費税抜き)でレンタルする方向だ。小ロット印刷に適するだけではなく、水性インクは引火の危険がないことから、一般の倉庫に保管でき、換気など設備投資も抑えられる。残留溶剤臭の心配もないため、食品包材にも適している。
これにより製品サイクルの短い菓子や新製品のパッケージのサンプル印刷、農水産物の生産者向けなど新しい市場を開拓できる。同社が菓子などのメーカーと消費者の橋渡し役となり、さまざまな可能性を追求していく。
だが、開発陣も重田社長も満足していない。年内には1インチ当たり1200×1200ドットの高解像度を目指している。さまざまなコラボレーションも模索する。FXIJは進化し続けるインクジェットプリンターだ。
(千葉編集委員・中沖泰雄)
【製品プロフィル】
白を含む5色を毎分40メートルの速度で印刷できるインクジェットプリンター。VOCを含まない水性インクに対応した同プリンターとしては世界最速水準になるという。白を含まない場合、毎分60メートルの高速印刷が可能だ。幅540ミリメートルのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの基材に表面処理をしなくても印刷できる。
(2018/1/30 05:00)
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