[ 機械 ]

第60回十大新製品賞/本賞−イシダ、ダイナミック計量システム「IMAS−G」

(2018/1/31 05:00)

  • IMAS―Gと開発担当の鈴木氏(右)と営業を担当する林氏

イシダが商品化した「IMAS(アイマス)―G」は、ロボットアームなどに取り付けて、計量対象のワークをつかみ、持ち上げて動かす過程で瞬時にワークの質量を計測する、新計量システムだ。「運ぶ」と「計量する」を同時に行うことで生産ラインの省スペース化、自動化、作業時間の短縮を実現する。

IMAS―Gにより「運ぶ」と「計量する」を同時に行えば、重さにより良品、不良品を選別できる。ロボットハンドによる部品の2個取りも、重さでチェックが可能。コンベアスケールに載らない、大型の部品などではより利便性が高まる。

食品分野では今後、病院の入院患者用食事トレーや、コンビニの弁当容器などにロボットが食品の重さを確認し、盛り付けする事例が増える見込み。商品企画部マーケティング室の林健治氏は「運ぶ、計量するを同時に行うニーズは高い」とみる。

開発は2011年に着手した。モノを動かしながら計量する要素技術の開発は順調に進んだ。一方、開発に必須のテストユーザーが見つからず、社内で時期尚早との判断になり、開発が数カ月間中断したこともあった。

16キログラムまで計量できる機種から100キログラムまで計量可能にする開発では、大型ロボットを持っていなかったため、協力先のロボットメーカーに出向きテストを繰り返した。15年に16キログラムタイプのIMAS―Gを発売した後、「大きなモノを動かし、計量する方がニーズもあるのではないか」との指摘を取引先から受ける。そこで100キログラムまで計量できる機種開発を急ぎ、16年の発売にこぎつけた。

既設のラインで新たに重量検査を追加する場合、IMAS―Gはロボット導入だけで済む。鈴木亮民自動化推進室係長は「大規模なレイアウト変更不要で、省スペースで済むため顧客評価は高い」という。食品、工業、物流分野でのIMAS―Gの活用事例を増やし、知名度を向上させることで販売増に結び付けたい考えだ。(京都・水田武詞)

【製品プロフィル】

ロボットアームなどに取り付けることでワーク(計量対象物)を移動させながら計量できるシステム。移動時に発生する力と加速度の関係から質量を計量する。通常、質量計量時にはロボットと別に計量器も必要だが、一体化と瞬時計測で高効率化する。ワークが安定するまで待つ必要もなく、ワーク搬送中という不安定な環境でも計量できる特徴も持つ。

(2018/1/31 05:00)

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