[ オピニオン ]
(2018/1/31 05:00)
子育て世代の負担軽減は重要だが、財政負担の拡大が国債の償還先延ばしにつながる懸念が捨てきれない。「ふるさと納税」などに使う寄付税制を整備し、国民の善意を活用する方法を検討できないか。
政府は昨年12月の閣議で2兆円規模の「新しい経済政策パッケージ」を決めた。「人づくり革命」に向けた各種の教育無償化を盛り込んでおり、2019年度以降の予算で具体化する。
財源には消費増税の一部を充て、不足分3000億円は産業界に新たな負担を求める。形の上では赤字国債に頼らない仕組みだ。ただ将来の税収が不確かな中で公的負担を増やしたことには変わりない。仮に財政再建が遅れれば、親世代が負担すべき費用を子ども世代に押しつける結果になる。少しでも公的負担を減らす道を探りたい。
その一つとして、寄付税制を活用できないだろうか。日本では制度の拡充にもかかわらず欧米のような寄付文化が根づいていない。一方で近年、同じ寄付枠を使うふるさと納税が急速に広がり、17年度の寄付の受け入れ額は4000億円超に達するとの予想もある。
ふるさと納税の寄付者の多くは返礼品目的とされる。ただ東日本大震災や熊本地震などの被災地に多額の寄付が集まる傾向も明確だ。国民の中の小さな善意を見過ごすべきではない。
内閣府の公益認定等委員会によれば、独自の奨学金などを運営する公益法人は推計で700程度ある。一方で、大半の公益法人は寄付収入ゼロなのが実情という。社会的に認知されていなかったり、手続きが面倒だったりすることが背景にある。
総務省は地域の起業家支援など、新たなふるさと納税の活用策を自治体に提案している。寄付者が自治体に要望する使途の一つとして、すでに実績のある公益法人への支出を加えてはどうか。またふるさと納税はどうしても地域性が重視されるので、同じ方法で全国レベルの寄付ができる仕組みは作れないか。ある程度の返礼品は必要かもしれないが、広く善意を集める方法を考えたい。
(2018/1/31 05:00)
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