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[ 建設・住宅・生活 ]
(2018/2/14 05:00)
住友林業は2041年に木造で高さ350メートルの超高層ビル建設を目指す構想「W350計画」をまとめた。高さを追求するだけでなく、多様な生物の住処となるような街「環境木化都市」を目指す。昨年資本提携を結んだ熊谷組も協力する。高い目標にチャレンジする中で技術革新やコスト低減を進めると同時に、国などに法制度の整備を働きかける狙いもある。
「日本が木造建築物で世界をリードしていくための新たなチャレンジだ」(市川晃住友林業社長)。現在の構想では東京都心の丸の内エリアに地上70階建てのビルを建てることを想定している。内部が純木造の木鋼ハイブリッド構造で、木材を18万5000立方メートル使用。鉄骨造に比べて新築時に22%の二酸化炭素(CO2)排出量を抑えられるとした。
今後は十分な耐震・耐火性能を持たせるための研究などを進める。すでに3時間耐火部材の開発に着手した。木だけで燃え止まらせる技術を確立し、木造は火災に弱いという懸念を拭い去る。強靱(きょうじん)で均質な樹種も開発する。
総工費は鉄骨造のおよそ2倍となる約6000億円と試算した。日本の法制度で建てられる木造建築は、2時間耐火の部材を使った場合で14階建てまで。必要な法整備や規制緩和を国や関係機関に働きかける。
熊谷組は高さ500メートル超の台湾の超高層ビル「台北101」などを建てた実績もあり、住友林業も「W350計画は熊谷組の協力がなければ成り立たない」(佐藤建取締役専務執行役員)と期待を寄せる。W350計画では、まず20年代前半に高さ70メートルの14階建てビルを建てる計画で、施工は熊谷組が担う見通し。熊谷組も「収益拡大はもちろん、木材の流通促進でCO2抑制に資することもゴールの一つ」(増子寛熊谷組建築事業本部副本部長)。
欧米では環境負荷の低減やCO2の固定化を旗印に木造建築物の高層化が進む。林業先進国と言われるオーストリアのウィーン市では高さ84メートルの24階建てビルが建設中。日本ではまだ5階建て程度にとどまる。同計画は、日本が木造建築物の高層化で欧米に後れをとっている状況に、一石を投じそうだ。
(2018/2/14 05:00)
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