[ オピニオン ]
(2018/3/5 05:00)
千葉県の北東部、香取市佐原地区(旧佐原市)は利根川に面した水運の要所で、明治維新まで「江戸優り」と称されるほど栄えた。今も古い商家の町並みを舟から楽しめる。名物のうなぎの人気店は大行列で、いつも入れない。
県南の内陸部、大多喜町は江戸時代に小藩ながら城持ちだった。“房総の小江戸”と呼ばれた古民家が城跡周辺に集積する。学生だった正岡子規が宿泊したとされ、国の有形文化財でもある老舗旅館の予約は取りづらい。
訪日外国人観光客から地方都市が注目されている。人気をけん引しているのが、かつての人々の生活をしのばせる古民家だ。千葉県には4万軒もあり、関係者によれば東日本でもトップクラスだそうだ。
地元金融機関も観光資源としての古民家再生を後押しする。千葉銀行は専門チームによる融資制度を開始。京葉銀行はファンドを組成し、香取市の企業を支援する。いずれも県内支店網を駆使したきめ細かなサポートが特徴である。
東京に隣接する千葉県は、成田空港や東京ディズニーランドなど近代的な施設の印象が強い。しかし実際には豊かな自然と歴史があり、訪日客のアクセスも容易だ。古民家ビジネスを核に新たな魅力を開発してもらいたい。
(2018/3/5 05:00)