[ オピニオン ]
(2018/3/14 05:00)
インド映画が人気だという。多くは豪華セットの中で主人公が苦労した末に美女を妻にし、ハッピーエンドを迎える勧善懲悪のストーリーを繰り広げる。テレビのない庶民の娯楽であり、作品数世界一の映画大国として知られていたが、今は米ハリウッド映画とは違う魅力が注目されている。
実は10年以上前にもちょっとしたブームがあり、けっこうな数の作品を見た。男優は必ずひげを蓄え、女優はキリリとした目鼻とふくよかなボディーが印象的だった。
もっと驚いたのは、ムダと思われるほどの出演者の多さ。背景の野原に数十人の男女が多彩な衣装で登場する。映るのは十数秒で米粒大だ。主人公が踊る場面では数えきれないほどの踊り手が、幾つも衣装を変えながら満面の笑みと複雑な振り付けで画面一杯に広がる。
人件費が安いから可能なのだと想像した。では経済発展の続く今はどうか。最新作のDVDを購入して“その後”を検証した。ひげやストーリーはなじんだものだったが、踊り手の数はコンピューターグラフィックスが加わり、倍どころか指数関数的に激増していた。
ひとつだけ意外だったのが美の基準の変化。女優は明らかにスリムになっていて、今度はそこにはまりそうだ。
(2018/3/14 05:00)