[ 人物 ]
(2018/4/2 05:00)
軸受の「理論」尽きず
日本精工で樹脂などの高分子材料の開発を手がける原久美子さん(29)。軸受の保持器の形状が軸受トルクに与える影響を調べるなど開発テーマは広い。約100年前に日本で初めて軸受の生産を始めた同社だが、「理論としてまとまっていないことがまだある」と目を輝かせる。
自ら研究テーマ選び実行
子どものころはパズルやクイズが好きでした。その影響か数学が好きになり、就職の際に選択肢も広がると考え理系に進みました。九州大学大学院工学府では機械工学科を専攻し、人工関節の摩擦や摩耗などの「バイオトライボロジー」を研究テーマに選びました。関節を保護する役割などを担う関節液中に含まれるたんぱく質が人工関節に与える影響を研究しました。
就職では設計や生産技術ではなく、これまでの経験を生かせる研究職を希望していました。日本精工は大学の先輩も多く、出産や育児と仕事を両立しやすい環境が整っていると聞いていたので決めました。
入社6年目ですが、想像通りの働きやすい職場だと感じています。現在は設計で必要となる高分子材料の物性を調べたり、開発期間やコスト削減につながる最適な試験方法を考えたりしています。同世代の若手数人でアイデアを出し、自分たちでやりたいテーマも任せてもらっています。日々の業務では、どのテーマに取り組むかなどの進め方も任されており、自分のペースで仕事ができています。
所属する神奈川県藤沢市の研究開発拠点には、九州の大学出身者で構成する100−200人規模の同人会があり、交流を深めるきっかけになっています。これまで同僚と終業後にやっていた月2回のフットサルは、妊娠中のため参加できてません。最近は休日にベビー用品を買いにいくのが、楽しみの一つになっています。(文=西沢亮、写真=成田麻珠)
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◇日本精工 コア技術研究開発センター
(2018/4/2 05:00)