[ ICT ]
(2018/4/2 05:00)
NECは、工場などで稼働するロボットや工作機械などのIoT(モノのインターネット)機器向けのサイバー攻撃対策技術を開発した。機器の実行プログラムが改ざんされているかどうかをほぼリアルタイムに検知できるため、搬送ロボットなど遅延が許されない機器にも使える。1メガバイト(メガは100万)以下のメモリー容量の小さい各種センサーやデバイスなど小型素子にも対応する。大型機器だけでなく、末端の素子の安全性も高めれば、工場全体のセキュリティーレベルが向上する。2019年度をめどに実用化する。
開発したのは、4キロバイトと軽量な実行コードで中央演算処理装置(CPU)に実装できる改ざん検知のソフトウエア。CPU上にある保護領域に改ざん検知機能を実装することで軽量化した。従来の改ざん検知は数百メガバイト程度の容量が必要だったため、IoT機器には導入できなかった。
機器の正常な状態を基に、起動時だけでなく、稼働中の運転状況を常時検査し、改ざんされた場合にリアルタイムで警告を出す。検査領域を絞り込むことで、改ざん検知のスピードを高速化した。例えば搬送ロボットなどでは、改ざん後、約6ミリ秒(1ミリ秒=0・001秒)で高速検知する。
従来、サーバーとIoT機器、IoT機器間の通信の改ざん検知技術などはあったが、より強固にIoT機器を保護するためには、末端の素子レベルでの対策が必要になる。
IoT機器のサイバー攻撃による改ざんを早期に発見できれば、生産ラインを一時停止したり、システムから切り離したりといった適切な措置を素早く取れる。不正操作による不良品の製造や、機器に保存されている製品情報の漏えいなどを防ぎ、被害の拡大を最小限に抑えられる。
5月に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれる技術展示会「IoT/M2M展」に出展する。
(2018/4/2 05:00)