[ 政治・経済 ]
(2018/4/14 14:30)
米英仏の3カ国は13日、シリアのアサド政権による化学兵器使用への報復措置として同国をミサイル攻撃した。
トランプ大統領はホワイトハウスでの国民向けの演説で、ミサイル攻撃の対象はシリアの化学兵器施設に絞られると説明。「今晩のわれわれの行動の目的は化学兵器の製造・拡散・使用に対する強力な抑止力を確立することだ」とした上で、「アサド政権が禁止されている化学物質の使用をやめるまで、われわれはこの対応を継続する用意がある」と語った。
米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長は同日、記者団に対し、米英仏3カ国の空海軍が3カ所の主要目標を攻撃したと説明。そのうち2カ所はダマスカス郊外の化学兵器研究施設とホムス近くの兵器貯蔵施設だとし、攻撃は民間人が死亡するリスクを最小限にするよう計画されたと説明した。
マティス国防長官は「現時点でこれは1回限りの攻撃であり、アサド大統領を制止する非常に強力なメッセージになったと確信する」と述べた。英国防省は攻撃について「成功を収めた」とコメントした。
マティス長官はまた、「われわれは現在、追加的な攻撃を計画していない」とも発言した。
大統領は化学兵器使用疑惑の後でもアサド政権を支持しているとして、イランとロシアをあらためて批判。「イランとロシアに尋ねる。いったいどんな国が無実の男女と子供の大量殺人への関与を望むだろうか。世界の国々はどのような国と友人であるかで判断できる」と述べた。
シリア国営のシリア・アラブ通信(SANA)によれば、シリアは防空手段が「米英仏の侵略に直面している」と表明。在英の非政府組織(NGO)、シリア人権監視団は攻撃のターゲットに関して、幾つかの軍事基地と共和国防衛隊の拠点、シリア政府の研究施設である科学研究調査センターだと伝えた。
メイ英首相は声明で「対象を絞った」攻撃は将来の化学兵器使用を阻止するためのものであり、「内戦への介入でも体制変革でもない」と説明した。
マクロン仏大統領も自身で書いた声明で、「われわれの対応は化学兵器を製造・使用するアサド政権の能力に限定している」と述べた。
ワシントンのセンター・フォー・グローバル・ポリシーのカムラン・ボッカリ上級研究員は今回の攻撃について、「アサド政権の通常軍事能力の弱体化を狙ったものではない」と述べた上で、ロシアへの挑発を回避する意図があったようだとし、「攻撃がアサド政権の化学兵器能力だけを対象にするとの言質をロシアは恐らく得ていた」と指摘した。(ブルームバーグ)
(2018/4/14 14:30)