[ 政治・経済 ]
(2018/4/21 08:30)
【ソウル時事】北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会第7期第3回総会が20日、開かれ、21日から核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射を中止し、北部の核実験場を廃棄することを決定した。また、朝鮮半島の平和と安定に向け、周辺国や国際社会と緊密に連携、対話していく方針を打ち出した。朝鮮中央通信が21日、伝えた。
金正恩党委員長は、核開発と経済建設を同時に進める「並進」路線について、「国家核兵力の建設が完璧に達成され、貫徹された」と宣言。今や、いかなる核実験も中・長距離、大陸間弾道ミサイルの試射も必要なくなった」と強調し、社会主義経済建設に総力を集中する新たな戦略路線を表明した。
南北、米朝首脳会談を控え、核・ミサイルの開発を進める路線を転換する姿勢を明確にした形だ。
「並進」路線は2013年3月の中央委総会で採択された。昨年10月の中央委総会で金正恩氏はこの路線を揺るぎなく推進し、「国家核兵力建設の歴史的大業を完遂させる」と強調していた。
しかし、今年3月、訪朝した韓国特使に非核化に関し米国と対話する用意を表明。さらに、初めて中国を訪問し、習近平国家主席と会談「(米韓が)段階的で歩調を合わせた措置を取るなら、非核化問題は解決できる」と述べていた。
トランプ氏「大きな前進」 核実験中止を歓迎
【ワシントン時事】トランプ米大統領は20日、ツイッターで、北朝鮮が核実験中止や核実験場の廃棄などを発表したことは「北朝鮮と世界にとって非常に良いニュースだ」と述べ、歓迎した。その上で「大きな前進だ。(米朝)首脳会談が楽しみだ」と投稿し、6月初旬までに行われる金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談への期待感を表明した。
トランプ氏は18日、安倍晋三首相との共同記者会見で米朝首脳会談について「もし実りあるものにならないと思ったら、会談しない」とけん制していたが、北朝鮮の決定は会談に向けた弾みとなりそうだ。
ただ、トランプ政権は「完全かつ検証可能、不可逆的な非核化」を掲げている。核実験場廃棄や弾道ミサイル試射の停止だけでなく、核計画全体の放棄を求めていく方針。北朝鮮は今回の発表で核兵器の放棄には言及しておらず、さらに妥協する用意があるかどうか首脳会談の焦点になりそうだ。
一方、米朝首脳会談に向けてポンペオ中央情報局(CIA)長官が数週間前に極秘訪朝し、金委員長と会談するなど水面下の準備が進んでいる。ポンペオ氏は訪朝後の上院公聴会で「対話するための条件を適切に設定できると楽観している」と述べており、訪朝時に「非核化」実現について何らかの確証を得た可能性もある。
(2018/4/21 08:30)