[ その他 ]
(2018/5/9 05:00)
蓄音機のラッパに着想
■音のバリアフリー実現「ミライスピーカー」
音のバリアフリー化を実現したい―。難聴者にも鮮明に音が聞こえる「ミライスピーカー」を展開するサウンドファン(東京都台東区)。この商品には佐藤和則社長の強い思いが込められている。創業の発端は、加齢性難聴だった父に聞こえるスピーカーを作ろうと考えたことだった。
宮原信弘取締役研究開発本部長とともに調査を進めると、音楽療法を手がける大学の教授から蓄音機の音が難聴の高齢者に聞こえやすいという話を耳にする。ラッパ状になっている金属部に注目。曲面振動板を利用したミライスピーカーの初代モデルとなる「Boxy」を2015年10月に発売した。
ミライスピーカーの音は指向性が広く、距離減衰しにくいため、広いエリアに鮮明に届けられるのが特徴だ。次世代モデルの「Boxy2」と「Curvy」のプロトタイプを開発したのは坂本良雄執行役員新技術管掌。「健聴者は歪みの多い音も聞き取ることができるが、難聴者は音の響き部分がよく聞こえる」(坂本執行役員)と、健聴者と難聴者の聞こえ方の違いについて見解を述べる。
これまでの聞こえ方の評価の参考とされる数値は、ミライスピーカーの性能評価には当てはまらない。企業に提案しても、健聴者の担当者に実際に聞いてもらっても効果が伝わらなかった。しかし難聴者の反応を見ると効果があるのは明らかだ。難聴者に対する独自の聞き取り調査などデータ収集を続けることで、少しずつ企業での導入を増やしていった。
現在の課題は量産。通常のスピーカーは磁気回路とコーン紙を組み合わせることでユニット化が容易だ。一方、ミライスピーカーは曲面を作ることができる素材とアクチュエーターで構成される。壊れやすいため手作業での組み立てが必要だ。量産担当者とデザイン担当者など、各従業員たちが意見をぶつけ合いながら、さらなる完成形を目指している。同社の製品開発はまだ終わらない。(大串菜月)
(2018/5/9 05:00)
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