[ オピニオン ]
(2018/5/23 05:00)
日本が高度経済成長を極めた1970年、大阪で開幕した万国博覧会場に「原子の灯」をともしたのは日本原子力発電敦賀発電所(福井県敦賀市)の1号機。国内初の商業用軽水炉として45年間稼働し、すでに廃炉が決まっている。同社は原子力発電専業でありながら現有の敦賀2号機、東海第二発電所(茨城県東海村)を再稼働する見通しが立たない。敦賀1号機の廃炉を確実に遂行するためにも、抜本的な経営改善が急務だ。
原電は57年、商用原子力発電を事業化するため、電力大手各社が出資して設立。当時、国策会社だった電源開発(Jパワー)の出資も受け入れ、官民一体となって原発事業化を進めてきた経緯がある。66年に小規模ながら国内初の商業用原子炉(黒鉛炉)となった東海発電所(東海村、98年に営業運転停止)を稼働してデータを蓄積し、現在の軽水炉による日本の原子力産業の礎を築いた。
70年の敦賀1号機に続き、78年に東海第二発電所、87年に敦賀2号機の営業運転を始め、発電した電力を卸販売してきた。だが、両原発とも2011年、東日本大震災による被害と設備トラブルで運転停止に追い込まれ、今日に至っている。
敦賀2号機は原子炉直下に活断層がある疑いがあり、原子力規制委員会の結論を待っている状況。一方、東海第二は11月に廃炉の基準経年とされる40年が迫っているが、運転期間の20年延長に必要な規制委による新規制基準に適合するための工事費1700億円余りの確保がハードルとなった。このため、原電は東海第二が電力を供給する東京電力ホールディングス(HD)と東北電力に資金支援を要請し、両社から支援に応じる意向を取り付けた。
東電HDも国の支援を受けて経営再建中で、支援決定に対し批判の声が上がる。だが、原電が破綻すれば、電力各社が大きな経営ダメージを受けるのは必至。さらに、原発廃炉は原子炉の設置許可を受けた事業者にしか認められない現実がある。廃炉をきちんと終えるためにも事業の継続が必要だ。
(2018/5/23 05:00)
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