[ 政治・経済 ]
(2018/5/24 10:30)
【ワシントン=時事】ロス米商務長官は23日、自動車・同部品の輸入が安全保障に及ぼす影響について調査を開始すると発表した。トランプ大統領の指示を受けたもので、米メディアによると、「安保上の脅威」と判断すれば、輸入車に最大25%の関税を課す。日本や欧州連合(EU)などとの貿易摩擦が一段と激化する恐れがある。
調査は、安保を理由とする輸入制限を定めた米通商拡大法232条(国防条項)に基づき行う。商務省の発表によると、スポーツ用多目的車(SUV)、商用車、小型トラックを含めた自動車全般と、自動車部品が対象になる。
ロス氏は声明で「何十年にもわたり自動車の輸入が国内産業をむしばんできたことを示す証拠がある」と訴え、調査の正当性を強調した。調査には数カ月かかるとみられ、その結果を受けて大統領が措置発動の是非を最終決定する。
米政権は3月、鉄鋼とアルミニウムの輸入増加を安保上の脅威と認定し、鉄鋼に25%、アルミに10%の追加関税を導入。日本や中国を含む多くの国が対象となった。
米政権は、鉄鋼・アルミ追加関税の「適用除外」を取引材料に、貿易交渉で相手国に譲歩を迫っている。これに対して中国は米国産品への報復関税に踏み切ったほか、日本やEU、インドは対抗措置を視野に入れている。米国の一方的な関税の対象が自動車にも及べば、各国・地域からの反発が強まるのは不可避だ。
トランプ大統領はこれまでも米国が抱える巨額の貿易赤字に絡んで自動車をやり玉に挙げており、11月の中間選挙を意識して、新たな強硬策を打ち上げた格好だ。米紙ワシントン・ポストは、難航する北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉でメキシコから譲歩を引き出す狙いもあると分析している。
(2018/5/24 10:30)