[ その他 ]
(2018/5/31 05:00)
■IoT化・ユニークさ評価
IoT(モノのインターネット)などを用いた先進的なモノづくりをたたえる第1回「スマートファクトリーアワード2018」の表彰式が、30日開幕した「スマートファクトリーJapan2018」の会場内で行われた。旭酒造(山口県岩国市)、旭鉄工(愛知県碧南市)、ジェイテクト、武州工業(東京都青梅市)、ブリヂストン、YKKの6件を表彰した。
受賞各社は製造現場のIoT活用をはじめとした取り組みの成果やユニークさが評価された。日本酒の国際的ブランド「獺祭(だっさい)」で知られる旭酒造は、データを駆使した再現性の高い製造法を確立し、酒造りの新境地を切り開いている。受賞者による公開懇談会で桜井一宏社長は「データも機械も人手も全ておいしい酒を造るための道具」とした上で、それら3者が調和する「日本的なスマートファクトリー」の考えを紹介した。
一方、YKKは国内外のファスナー工場を情報システムでつなぐ「YKKIoTモデル」を構築。コスト削減、リードタイム短縮、予防保全などを可能にしている。大谷渡副社長は「こうした取り組みに終わりはなく、大事なのは継続して競争力につなげること」と強調した。
記念講演では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)アドバイザーで東京大学政策ビジョン研究センターシニアリサーチャーの小川紘一氏が、「IoT時代の日本企業が目指すべき方向」をテーマに講演した。小川氏は「今起きていることは100年に一度とも言うべき経済革命」と指摘。その上で、競争ルールを自社優位に設計する「オープン&クローズ戦略」の必要性を強調した。
■「事業継続能力向上が重要」 防災科研理事長 講演
スマートファクトリーJapan2018と同時開催の「2018防災産業展in東京」では、防災科学技術研究所の林春男理事長が、研究成果の社会への普及について講演した(写真)。林理事長は「これからの防災は“レジリエンス”(復元力、強靱さ)の向上、社会や企業がいかに事業継続能力を高めるかが重要だ」と指摘。その上で、企業や地域が連携した一元的な取り組みの必要性を強調した。
林理事長は、現在の災害対応力の弱さを具体的に説明。レジリエンス向上に加え、超スマート社会「ソサエティー5・0」の実現を支えるためにも、「従来のような個別のハザード対応ではなく、包括的な危機管理の仕組みを構築する必要がある」と訴えた。防災科研の取り組みとしては、各機関が持つ情報を流通させる「府省庁連携防災情報共有システム」を紹介。今後、同枠組みを基盤にして、対象を地方自治体に拡大、官民連携の取り組みにつなげていくとした。
■ものづくり白書など紹介 製造産業局長 講演
スマートファクトリーJapan2018の会場内で、経済産業省の多田明弘製造産業局長が講演した(写真)。18年版ものづくり白書や第4次産業革命に向けた政策「コネクテッド・インダストリーズ(CI)」などを紹介した。
ものづくり白書については、総論に記した製造業に関する「四つの危機感」を説明。人手不足、デジタル化など迫り来る課題に対応するには、「現場任せでは物事は進まない」と経営主導の必要性を訴えた。
CIでは、企業間などの“つながり”により価値を生み出すために「セキュリティーの話が非常に重要になる」と強調。全体俯瞰(ふかん)的に生産や経営の方向性を考える「システム思考」の重要性にも触れた。
(2018/5/31 05:00)
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