[ オピニオン ]
(2018/6/5 05:00)
「日本3大がっかり名所」というのがあるそうだ。観光名所として有名だが、行ってみると期待外れらしい。札幌の時計台、高知のはりまや橋が順当で、残り一つは長崎のオランダ坂や沖縄の守礼門など、諸説ある。
ガイドブックで見る時計台の写真は白い洋風の建物が鮮やかで、雄大な北海道のイメージと重なり期待が膨らむ。ところが実物はこぢんまりとした感じだ。ビルに囲まれているせいだろう。
時計台は1878年(明11)、北海道大学の前身である札幌農学校の演武場として建てられた。札幌農学校は「少年よ大志を抱け」で知られるクラーク博士が初代教頭だ。新渡戸稲造や内村鑑三ら、多くの人物を輩出した。
演武場に時計塔が設置されたのは1881年。1903年に当時の札幌市が演武場を譲り受け、このころから「時計台」と呼ばれた。時を刻み続け、札幌市のシンボルとして定着する。歴史をひもとくことで、時計台の価値の重みがわかる。
本年は北海道と命名されて150年。時計台を見ながら北海道の歴史に思いを巡らすのも一興だ。ただ今月から改修工事が始まった。外観がシートで覆われ見えなくなるという。知らずに行って、がっかりしないように注意いただきたい。
(2018/6/5 05:00)