[ ICT ]
(2018/6/30 07:00)
トランプ米大統領は米中西部ウィスコンシン州で、台湾の鴻海精密工業の新工場起工式に出席した。同工場建設はトランプ大統領が「米国第一」の通商政策のシンボルとして称賛した案件の1つ。
トランプ大統領は11月の中間選挙を見据え、自身の経済政策、特に減税と米製造業復活の取り組みが成果を生み出しつつあると示そうとしている。しかしトランプ大統領が中国や欧州との貿易問題で導入した関税により、投資家の間に米経済見通しへの懸念が広がっている。
トランプ大統領は鴻海の新工場建設プロジェクトは1万5000人の雇用を創出し、ウィスコンシン州経済に年間34億ドル(約3760億円)貢献するだろうと発言。同工場を「世界の七不思議」に続く8番目の不思議だと称賛した上で、米国のコンクリートと鉄鋼で建設されると述べた。
大統領は創出される雇用総数を1万5000人と述べたが、ウィスコンシン州当局者と鴻海は共に1万3000人としており、同大統領は雇用者数の最善のシナリオを誇張したようだ。
同大統領はソフトバンクグループの孫正義社長による対米投資額についても、当初公表額を44%上回る数字を主張した。大統領は起工式での演説で、式典に同席した孫氏を壇上に呼び、「そして彼の500億ドルは現時点で720億ドルになった。投資はまだ終わっておらず、これは鴻海を含んでいない」とし、「従ってすごいことだ」と述べた。
ただ孫社長は自身の発言では500億ドルという数字を使い、トランプ大統領は増えた220億ドルの根拠を示さなかった。ソフトバンクにトランプ大統領の発言についてコメントを求めたが、これまでに返答はない。鴻海とソフトバンクはヒト型ロボット「ペッパー」の製造などで提携しているほか、ソフトバンクの1000億ドル規模の「ビジョン・ファンド」に鴻海が出資している。
トランプ大統領はまた、起工式の場所からわずか30マイル(約48.3キロ)のところに本社を置くハーレーダビッドソンに言及し、「ハーレーダビッドソンよ。お願いだから、あの美しいバイクを国内で製造していただきたい」と述べた後、「生意気言うな。国内でバイクを製造しなければ顧客は不満だろう」と付け加えた。同社は欧州の報復関税発動への対応として、一部生産を米国外に移転する可能性があると明らかにした。(ブルームバーグ)
(2018/6/30 07:00)