[ オピニオン ]
(2018/7/2 05:00)
毎年恒例の全国安全週間が1日に始まった。労働災害は長期的には減少傾向にある。ただ、高齢者の従事者の死傷者数は年々増えている。また、外国人労働者も年々増え、今後も増えていくことが予想される。高齢者と外国人労働者の対策が喫緊の課題として、浮上している。
厚生労働省のまとめによると、2017年の労働災害による死亡者の数は978人と、16年を50人上回った。死傷者数は12万460人と、16年に比べて2550人増えた。死傷者数が12万人の大台超えとなったのは、07年以来10年ぶりとなる。
近年の労働災害には、いくつかの特徴が浮かび上がっている。まず、年齢別の死傷者数で60歳以上が24・9%とトップを占めている。2位も50代が23・8%と、高年齢労働者が大きな割合となっている。合わせて、事故の型別では、「転倒」と「動作の反動・無理な動作(腰痛)」が大幅に増えてきている。これらの災害は、加齢による身体機能の低下が大きく影響しているという。
中央労働災害防止協会などは高年齢労働者の安全対策と健康確保のため、100の取り組みを盛り込んだ職場改善ツール「エイジアクション100」をまとめた。中災防のホームページから自由にダウンロードして使えるようにする。
第二に製造業や建設業の死傷者数が減少する一方、第3次産業の割合が着実に増えている。特に第3次産業に従事する外国人労働者の割合は小売業や飲食店などで増えており、それに伴い事故の増加も予想される。
人口減少が始まった日本では、今後の高齢者の就業拡大や育児期間を終えた女性の職場復帰、外国人労働者の雇用拡大などによって労働人口の人手不足を補う必要がある。必ずしも熟練工ばかりを確保できない職場や、第3次産業の最前線で労働災害を防ぐための工夫も欠かせない。
安全・安心を確保するための努力に終わりはない。直接の担当者だけでなく、社員一人ひとりが常に意識していくことが重要だ。
(2018/7/2 05:00)
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