[ オピニオン ]
(2018/8/17 05:00)
サマータイム導入案に対しては、メディア論調もネット世論も多くは否定的だ。しかし、東京五輪・パラリンピックのための時限措置ではなく、国民生活の向上に役立つ恒久制度の可能性も検討すべきではないか。
反対論の多くは、なじみの薄い制度の導入による社会の混乱に論拠を置く。また電算システムの改修費用もかかるし、生活リズムの変化が国民の健康に与える影響も完全には予測できない。懸念を並べるのは簡単であり、国民的な合意を得ることは容易ではなかろう。
しかし、多くの先進国が導入しているサマータイムが、日本では無理だという主張が論理的と言えるだろうか。国民への周知を徹底し、混乱をできる限り避ける措置をとった上で、そのデメリットと得られるメリットを比べ、長期的な視点で判断するという考え方もある。
産業界に目を向けると、経団連は過去に何度かサマータイム導入を政府に提言した。今も肯定的な経営者が少なくない。地球温暖化対策を厳しく迫られる中で、二酸化炭素排出量の削減効果が多少でも見込めるなら挑戦すべき―という考え方だ。
他にもサマータイムのメリットとしては、日の出後の明るい時間の活用による照明の抑制や、夕方が長くなって消費活動が活発化することが知られている。他国の例などを参考に、得失を十分に検討してほしい。
国家が“時間を動かす”ことの効果は他にもある。2013年の産業競争力会議で、東京都の猪瀬直樹知事(当時)は「標準時を2時間早める」ことを提案した。日本の金融市場がアジアで最も早く開くようにすることで、取引を活性化するのが狙いのひとつ。新鮮な切り口だったが、国民にはほとんど理解されなかった。
どうしてもサマータイムが無理なら、標準時を1時間程度早める方法もあるのではないか。緊急避難ではなく、東京五輪をきっかけに国民生活のメリットになる方法を考えるべきだ。変化を嫌う消極的な意見にとどまらず、あらゆる角度から議論を深めていくことが重要だ。
(2018/8/17 05:00)
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