[ オピニオン ]
(2018/12/11 05:00)
英国の欧州連合(EU)離脱の協定案をめぐって、英下院議会による採決が11日、行われる。与党保守党の強行離脱案が根強く、反対が根強いことから、否決される公算が大きくなってきている。離脱の先行き不透明感が高まる。合わせて、自由貿易への危機感を募らせるEUにとって、日本が重要度を増すことが予想される。
11日、EUが決めた2019年3月の英国の離脱条件を定めた「離脱協定案」を英国議会として決める採決となる。議会承認が得られないと英国の正式決定とならない。保守党は下院(定数650)で議長を除いて315議席しかなく、与野党双方から反対票がでて、否決される可能性が高くなってきている。
否決された場合には(1)EUとの再協議後に再び下院採決(2)国民投票の再実施(3)EUとの合意がないまま19年3月に離脱―といったシナリオが想定されている。いずれにしても、政治、経済の混乱は必至だ。
欧州で影響力を行使してきた“大国”英国の離脱は、EUにとって政治、経済の両面で打撃を受けることは間違いない。英国は1973年、EUの前身である欧州共同体(EC)に加盟した。それ以来、ドイツとフランスと肩を並べて、通商、外交、防衛分野などで欧州をけん引してきた。米国との特別な関係を持つ英国は、米国と欧州との仲介役の役割を果たしてきた。
EUは、自由主義や国際協調といった価値観を体現してきた。世界最大の一市場として、グローバルな市場経済を推進し、自由貿易の旗振り役を担ってきた。EUは危機感を募らせている。トランプ米国政権は、「米国第一主義」を掲げ、その動きを強めているためだ。
こうした中で、EUにとって、同じく自由貿易主義を掲げ、価値観を共有できる日本の存在感が増してきている。日EU経済連携協定(EPA)が進んで、19年2月に発効すれば、世界で最大級の自由貿易圏が誕生することになる。日本はEUとの連携を足がかりとして、自由貿易をリードしていく重要な役割を担う覚悟が必要だ。
(2018/12/11 05:00)
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