[ オピニオン ]
(2018/12/12 05:00)
国内のブドウを原料に国内で醸造した「日本ワイン」を、国産ワインの中で区別する新たな表示方法が始まった。日本ワインは市場の中ではまだ小さい存在だが、海外を含めて評価が高まっており、将来の成長エンジンとして期待される。ワインと言えばフランス、イタリア、チリ、カリフォルニアなど欧米ブランドが幅を利かせているが、世界のワイン産地の一つとして日本も自信を持って名乗りを上げてもらいたい。
これまで国産ワインの表示に国内製造ワインと日本ワインが混在していた。輸入した果汁や原料ワインを国内で醸造したワインも国産に含まれており、日本ワインという位置付けは不明確だった。これを欧米などの表示の国際ルールに沿って、国税庁が変更した。
ラベルに日本ワインと表示でき、産地、品種、収穫年でそれぞれ85%以上特定される原料が含まれていれば、それも表示可能だ。ブランド力を向上し、海外で日本ワインの認知度を高めることにも寄与しそうだ。
とはいえ、日本ワインの規模はまだ小さい。国内市場の国産ワインに占めるシェアは約2割で、輸入ワインを含めると5%ほどに過ぎない。しかし、近年は海外の有名なコンクールで多く受賞するなど、その品質の高さが評価されてきている。国内でも人気が高まっており、市場全体が伸び悩む中、数年にわたり着実に伸びを続けている。
ニーズの高まりにメーカー各社はどんどんシェアを高めたいところだが、生産サイドの課題もある。原料畑が限られており、各社は拡大に力を注いでいるが、急に増やせない。また、原料の拡大に不可欠な苗木の確保も課題だ。さらに醸造の拡大には人材の育成も急務で、課題は山積している。
日本ワインを世界が認めるブランドに育成するため、官民が協力してこれら課題を乗り越えてほしい。欧州から日本に伝わったウイスキーが国内で進化し、日本が世界の5大産地の一つになったように、将来、日本ワインが世界の産地に名を連ねる日が来ることを期待する。
(2018/12/12 05:00)
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