[ オピニオン ]
(2019/2/1 05:00)
20代の後輩と男同士で居酒屋に繰り出した。「好きなモノを頼めよ」と太っ腹を決め込むも後輩は素っ気ない。「食にこだわりがないんです。たこ焼きとスイーツがあれば満足です」。
旅行や買い物にもあまり興味がないらしい。唯一はまってるのは『人狼』と呼ぶ心理ゲームだという。「あとは仕事が楽しいです」とてらいもなく言う姿は頼もしくもある。これが、自身の感性を大切にする今の若者の姿なのだろう。
しかし流行に遅れまじと洋服や時計を買いあさってきた40歳過ぎのオジサンとしては、欲望の弱さが気にかかる。一方、欲望が強すぎたオジサンの代表といえば日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告だろう。
私的な投資損失を日産に付け替えたり、日産の投資資金を使い複数カ所に自宅を構えたりした。日産の調査では不正が確定しており、関係者は「最大限むしり取り、自分のお金は最小限しか払わなかった」と吐き捨てる。
ただ「圧倒的な世界一を目指していた」(アナリスト)というゴーン被告の欲望が日産の原動力だった側面もあろう。不正は論外だが、欲望とうまく付きあえば人の可能性は広がる。後輩には旬のアンコウ鍋でもごちそうし、欲望のうま味を教えよう。
(2019/2/1 05:00)