[ 機械 ]

第61回十大新製品賞/モノづくり賞 三菱電機

(2019/2/11 05:00)

  • FAシステム第一部の柴田氏(右)と綿部氏

【産業用PC「MELIPCシリーズ」&データ分析・診断ソフトウエア「リアルタイムデータアナライザ」】

設備の予知保全や歩留まりを改善したい―。こうした製造現場の課題は複数の要因が考えられ、熟練技術者の経験や知恵で解決しているケースも多い。

三菱電機の分析・診断ソフトウエア「リアルタイムデータアナライザ」は、現場の技術者がデータ分析の専門知識がなくても、データを使い課題を解決できるツールだ。同社の人工知能(AI)を活用した類似波形認識を含め、10種類以上の分析手法を搭載する。

例えば切削機の故障を予測する場合、モーターの電流値、機械の温度や振動など、故障と関係がありそうなデータが抽出される。利用者は複数の抽出データを操作画面上で重ねるなどして故障との相関を見いだし、選んだデータをいくつかの分析手法に順次当てはめていくと、予測ルールを導き出せる。蓄積したデータから導いたルールは現場に適用され、設備から逐次発生するデータを当てはめてリアルタイムに診断し、故障を予測する。

ルールの導出から診断までプログラミングが不要な一方、膨大なデータから故障予知など目的に関係するデータを見いだすには、現場で培ったノウハウが必要。柴田剛志FAシステム第一部ソリューション推進開発グループマネージャーは「工場の技術者が知恵を生かし、画面操作のみで高度な分析ができるソフトを目指した」と強調する。

一方、高速で動く設備の稼働状況を把握して分析するには、高速で高精度なデータ収集や処理が欠かせない。例えば1秒間に複数の穴をあける加工機で、主軸モーターの電流値の変化から工具が加工対象物(ワーク)に接して貫通するまでの動きを分析する場合、1秒間隔でデータを集めていては変化を捉えられない。

産業用PC「MELIPCシリーズ」は、産業用ネットワーク「CC―Link IEフィールドネットワーク」との組み合わせで、「1000分の1秒単位でデータを収集し、正確にタイムスタンプを打つことができる」(綿部良介同部コントローラ開発課長)。データ分析で導く予測ルールは、データが正確で細かいほど精度を高められる。両製品の相乗効果で現場のデータ活用に貢献する。(西沢亮)

【製品プロフィル】

工場内のエッジ領域でデータを収集・分析し、リアルタイムに制御する産業用PC「MELIPCシリーズ」。産業用PCで動作し、分析の専門知識がなくても高度なデータ分析や診断が可能なソフトウエア「リアルタイムデータアナライザ」。両製品とも工場用IoT(モノのインターネット)基盤「エッジクロス」に対応する。

(2019/2/11 05:00)

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