[ オピニオン ]
(2019/5/15 05:00)
瀬戸内海の12島と2港を舞台とした現代アートの祭典をご存じだろうか。3年に一度、今回4回目の「瀬戸内国際芸術祭」である。春、夏、秋ごとに開催期間が設けられ、多くの観光客が島を訪れる。
10連休を利用して香川県の3島を中心に芸術作品を見て回った。古い民家や美しい海辺に展示された作品は妙に自然と調和し、鑑賞していて楽しかった。展示作品をつなぐ歴史ある街並みも散策できた。
芸術祭のテーマは「海の復権」。人口減少と高齢化が進んだ多くの島に活力を取り戻し、瀬戸内海が地球上すべての地域の「希望の海」となることを目指すという。
かつて産業廃棄物の不法投棄事件に揺れた豊島(てしま)。産廃の撤去により自然の回復が進んだ。ここでは無数の風鈴が森の中で鳴り響く作品にたどり着くまで山道を歩いた。これは自然豊かな本来の島を感じてもらうための演出ではないかと歩きながら思った。
一方、小豆島では、地元のボランティアが自家用車で離れた作品展示場所まで送ってくれた。別の訪問先でも地元の人々の自然な振る舞いに好感が持てた。多くの観光客も同様の思いだろう。現代芸術を生かし、地方活性化につなげる交流の祭典が末永く続くことを祈りたい。
(2019/5/15 05:00)