[ オピニオン ]
(2019/5/28 05:00)
6月のG20(主要20カ国・地域)首脳会議(サミット)では、デジタルデータをめぐるルールづくりが焦点のひとつとなる。データが価値創造の原動力となる新時代のルールづくりの突破口となることを期待する。
安倍晋三首相は、日本が議長国を務める今回のG20を「世界的なデータ・ガバナンスが始まった機会として長く記憶される場としたい」と、データ流通のルールづくりを主導する考えを示している。世界貿易機関(WTO)加盟国による交渉の枠組みを設けることも提案し、交渉開始の合意形成を目指す。首脳会議に先立ち6月8日から開催されるG20貿易・デジタル経済大臣会合は一連の議論の皮切りとなる。
データ・ガバナンスは国家戦略であるだけに、激しい議論が予想される。ITの巨人がひしめく米国やデジタル保護主義を強める中国は自国の産業育成の観点から過度な規制に反発。一方の欧州はデータの取り扱いや移転に厳しい規制を課す。
こうした中、日本はDFFT(データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト)と称する独自概念を打ち出し、対立構造を打開する構えだ。信頼に基づく自由なデータ流通を生産性向上や価値創造の原動力と捉えるこの発想の根底には、モノづくりに強く、現場から得られる「リアルデータ」を有する日本ならではの成長モデルがある。一部の巨大ITプラットフォーマーのみならず、幅広い企業がデータ流通の恩恵を受けられる発想は、多くの国の賛同を得やすいのではないだろうか。データ独占を防ぎ、公正な競争環境が整備されれば、企業は生産効率化などの恩恵を享受しやすくなる。
産業界や有識者の間には、DFFTの構成要素のひとつである「トラスト(信頼性)」をめぐりG20の場でどのような議論が繰り広げられるかに関心を寄せているとの声がある。
米中の「貿易戦争」の背景には、経済や安全保障をめぐる覇権争いがある。イノベーションと規制のバランスの取れたデータ・ガバナンスのルールづくりは、世界の安定にもつながる。
(2019/5/28 05:00)
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