(2019/7/2 05:00)
1994年6月に発売し、25周年を迎えたテクノアの生産管理パッケージソフトウエア「TECHS」(テックス)。早く安くそのまま使え、確実にコストダウンができると、3500社以上の企業が採用するデファクトスタンダード的存在だ。そこで山崎耕治社長にテックスをはじめ、同社の取り組みなどを聞いた。
-生産管理ソフトTECHS(テックス)が発売25周年を迎えました。
開発当初の弊社の思いが長く受け入れられ、多くの顧客に支えられたことに感謝している。四半世紀が経過したことに、よくぞここまでという思いと同時に、やっとここまできたという二つの思いを感じている。
-導入実績は3500社を超えています。ヒットの決め手は何だと思いますか。
顧客を徹底的に絞り込んだことだろう。日本のモノづくりをITで支援することを目的に、顧客対象は国内に工場のある中小製造業のみとした。それも受注生産で多品種少量生産への対応に絞った。汎用性のあるソフトが多い中で、あえて弊社は一線を画した形だ。
-TECHSの特徴は。
TECHS-Sは、個別受注生産の1品モノの機械や装置向け生産管理ソフト。部品の納入情報の可視化や、個別原価の把握を目的に開発した。仕掛かり中の原価と予測原価を即時に把握できる。かつ、生産状況のはデータが残り、同様の仕事なら、サイズが少々違っていても原価はほぼわかる。データが積み重なっていけば、見積もり精度も高まる。使えば使うほど精度が向上する仕組みだ。こうした形で、ITに経験値を残すことは、事業承継にもつながる。
-TECHSはシリーズ化し、バリエーションを広げています。
TECHS-BKは多品種少量生産の部品加工業に特化している。部品加工業は受注件数が多く、1件1件の管理が大変なため、加工の進展状況をバーコードで取得して見える化を図った。生産状況の確認連絡が入れば、即座に画面を見て返事ができるので顧客は安心する。また、見える化により、原価もすぐに分かるようになった。
-販売戦略は。
発売当初、岐阜県の経済規模は国内の1・4%、70分の1だった。そこで「ガラスの靴作戦」と称し、パッケージ化して、この靴(TECHS)に合う顧客を探すことにした。岐阜県で1社使えるなら、全国で70社はそのまま使えるはずと、全国に飛び出したことが思い出深い。
リーマンショックの影響で売り上げが落ち込んだ2010年2月期に、直販体制の見直しや導入企業による紹介に加え、顧客の満足度やコスト意識の向上などで、売り上げは急回復した。
-他社との連携事業も活発です。
ダイヤ精機様(東京都大田区)とは、中小製造業向けのコミュニケーションツール「Lista(リスタ)」を共同開発した。掲示板や顧客管理、納品スケジュールなど機能を絞り込み、チャット機能などを備えており、社内外でシームレスなコミュニケーションができる。1ライセンス490円(消費税別)と安価なクラウドサービスなのが特徴だ。
板金加工の小林製作所様(石川県白山市)が開発した、多数のカメラで生産現場のデータを蓄積、受注から出荷までを画像データで把握するシステム「Sopak(ソパック)-C」と連携した。TECHSとの連携で、いつ、誰が、どのように、どれだけの時間で作業したというデータが残り、より詳細なトレーサビリティー(履歴管理)を可能とした。
また、3S(整理・整頓・清掃)活動で知られる枚岡合金工具様(大阪市生野区)の図面管理システム「デジタルドルフィンズ」との連携では書類、図面データと注文書などを一緒にスキャンするだけで自動登録が可能。文書管理システムで課題だった登録時の取引先や品名などの入力作業を省くことができる。
我々もまだ知らない「良いシステム」が世の中には数多くある。今後も素晴らしいソフトと出会い、連携していくことで中小製造業の現場を活性化させるサポートをしたい。
-創業以来、着実に成長を続けています。
創業以来、おかげさまで赤字なしだ。リーマンショックで一度落ち込むも、以降は9年連続で増収。11年には自社システムにもTECHSを採用し、売り上げ、収益ともに格段に向上したことも大きなポイント。
-今後の計画は。
中小企業診断士によるITを活用した経営改善を提案したい。現在、社員6人が診断士資格を取得している。営業や開発などの現業と兼任なので執筆やセミナー対応が中心だが、データの使い方や診断、改善指導といった活動へと広げたい。
さらにIoTの提案を積極的に行い、生産現場の改善、生産性向上に取り組んでいきたい。
今後もTECHSを中心とした、ソリューション提案で日本国内の中小製造業支援にまい進する。
(2019/7/2 05:00)