[ 人物 ]
(2019/8/12 05:00)
“最適解”求め続ける
三菱電機の池田叔美さん(32)は、先端技術総合研究所(兵庫県尼崎市)で圧縮機の摩擦、摩耗、潤滑に関する技術開発に携わる。同社のルームエアコン「霧ヶ峰」の品質を陰で支える研究だ。「メカだけでなくケミカルも含めた総合的な知識が必要です」。製品不具合の発生を防ぐために最適解を求め続ける。
やりたいこと諦めず行動
幼いころは自動車会社の研究職だった父の横で、車やバイクの分解を手伝っていました。機械の勉強をしたくて工業高校に進学。大学と大学院では空調機に不可欠な伝熱工学の研究を続けました。三菱電機入社後は、摩擦、摩耗、潤滑を対象とするトライボロジーが専門に。空調というバックグラウンドを生かしつつも教科書レベルで一から勉強しました。学生時代に研究する方法を学んでいれば、専門が変わってもアプローチの仕方は似ていると思います。
第一子妊娠中、つわりがひどかったため、産休前に1カ月休職することに。その時の引き継ぎで、頭の中で分かっていることを体系的に文章化するのに苦労したので、産休・育休明けは周囲との情報共有を強く意識するようになりました。
仕事、子育て、妊娠の三つをこなすのは大変。ただ、工業高校に進んだ15歳ごろから、将来は専門職に就くと考え、いずれ家庭か仕事か選ぶタイミングが来ると思っていました。それを意識して人生の選択をしてきたからこそ、2人目の子どもに恵まれた今も何とかうまくいっているのかもしれません。今後は研究の専門性を高めるため、海外留学を考えています。子どもがいるからといって自分のやりたいことを諦める必要はないと思います。
休日は娘の洋服を作ったり、自転車を分解したり。エアコンの室外機の音を聞くと圧縮機の性能が気になるのは職業病でしょうか。(文=大阪・園尾雅之、写真=同・冨家邦裕)
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◇三菱電機 先端技術総合研究所 機械システム技術部 フリクション・機構グループ
(2019/8/12 05:00)