(2019/10/3 05:00)
森林資源に恵まれ、木質バイオマス発電が盛んな岡山県真庭市で、また一つ地元の森林から産出される木の皮などの余剰木質バイオマスを燃料として活用する企業が現れた。同市内にある昭和化学工業岡山工場である。同工場ではバイオマスを発電ではなく、熱として濾過助剤などの珪藻土(けいそうど)製品の製造・乾燥工程で使う。この実証運転を9月から始めた。
珪藻土は植物プランクトンの一種の珪藻が堆積して化石となったもので、ビールを製造する際の濾過助剤や家の内装などに使われる。同社はこれまで液化天然ガス(LNG)を燃料に使っていたが、既存のLNG燃料の熱供給プラントに木質バイオマスプラントを併設。LNGとバイオマスを最適な比率で使用することにより、安定的で経済性の高いハイブリッド運転を行い、地域に根差したバイオマスエネルギーシステムの拡大を目指す。
バイオマス燃料は真庭市を中心に鳥取県西部などから調達し、日量24トンの規模で燃焼に使う計画。これにより同工場で使用するLNGを20%ほど減らすことができ、二酸化炭素(CO2)排出量は年間およそ1000トン削減できる見込みという。
今回の木質バイオマスプラントの設置費用は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が3分の2、同社が3分の1を負担した。プラントの実証運転をNEDO事業として2020年度末まで実施し、その後は23年秋まで同社が自主運転を行う予定だ。
日本は国土の7割近くを森林が占める。戦後の燃料は薪や木炭、炭が中心で木材は生活を支える物資だった。だが木材輸入の自由化、石油やガスの普及に伴い国産材の需要は急減。間伐などの手入れがされずに放置される山林が増えてきた。
今こそ、日本の山林を守り維持するためにも、間伐材などのバイオマスを同社のように燃料に使ったり、電気をつくったりすることが求められる。それが産業に役立つとともに、豪雨災害などによる山崩れを防ぐことになる。
(2019/10/3 05:00)
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