(2019/11/12 05:00)
2020年4月に改正民法が施行される。1896年の民法制定から約120年ぶりの大幅な改正となり、契約などに関する基本ルールについて約200の改正がある。企業経営に与える影響は大きいが、中小企業経営者の認知度はいまだ低い。重要な改正だけに、知らなかったでは済まされない。
今回の改正では、例えば債権関係では消滅時効が、現行は商取引債権は5年、医師の診療報酬は3年、飲食代金が1年などと違っているが、原則5年に統一される。
東京商工会議所がまとめた中小企業の法務対応に関するアンケートでは、民法改正を「知らなかった」と回答した企業が61・1%に達している。施行まで5カ月を切った今、政府や中小企業支援機関は周知にもっと力を入れて欲しい。
また東商のアンケートによると、法務担当者を設置していないと回答した企業では、この3年で売上高が減少傾向にあり、兼任を含む法務担当者を置いている企業は売上高が増加傾向にあるという。法務重視は経営にも好影響を及ぼしている。
人材不足を経営の重要課題の一つにあげる中小企業が多い中、「製造や営業、サービス部門が優先で、法務部門に貴重な人材をさけない」というのが中小企業経営者の本音だ。そこで外部に法律の相談相手を持つことが必要になる。中小企業の法律の相談相手としては弁護士のほか、税理士や社会保険労務士、司法書士らがいるが、弁護士は「敷居が高い」というイメージを持っている中小企業経営者も少なくない。
日本弁護士連合会は2010年に、中小の経営者が日常の経営の悩みや心配事を気軽に相談できる「ひまわりほっとダイヤル」を開設した。18年度の受電件数は1万7458件に達するなど、弁護士へのアクセスは改善されつつある。
中小企業には契約や労働問題、事業承継、海外展開など法律の専門知識を必要とする経営課題が山積する。改正民法施行を機に、法務重視を経営に位置づける機運を醸成したい。
(2019/11/12 05:00)
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